どんまい

いろいろあるけれど、それでいい

お盆みたい

 居間の本棚にある本を数冊、ペラペラとめくり、橋本倫史『ドライブイン探訪』を手に取った。妻を職場に送り、仕事にはまだ早かったので、コメダに寄り、『ドライブイン探訪』を開いた。

 子どもの頃、町内会で廃品回収をした後に、ドライブインで食べたラードでギトギトの醤油ラーメンが美味しくて、今も時々食べたくなる。地元には、そのドライブインが、まだ営業を続けているのだが、そのラードでギトギトの醤油ラーメンはなくなっていた。今となっては、ドライブインを見かけなくなり、見かけたとしても、ドライブインを選択することもないが、『ドライブイン探訪』を読んでいる途中というのもあり、車を運転しながら、ドライブインを探した。ばあちゃんちに向かう途中に一軒だけあった。

 ばあちゃんちに着くと、父と母の車と帯広のおじさんの車があり、程なくして、苫小牧のおじさんとおばさんが到着した。昼時ということもあり、帯広のおじさんが、今日は、外食をしようかと思っているということを誰とはなしに言うと、苫小牧のおじさんが、買って来て、家で食べたいと言った。長時間運転した後で、また、車を運転するのはめんどくさいのだろう。じゃあ、俺が、買ってくると、よくよく考えれば、初めての申し出をし、この町に唯一のスーパーに向かった。車に、たまたま積んであったエコバッグを持ち、店内に入って、かごにおにぎりや寿司を入れていく。70代や80代ばかりだと、煮物だったり、きんぴらごぼうが良いだろうか、漬物もあった方が良い、とカゴに入れ、買い物を済まし、ばあちゃんちに着くと、鹿追のおじさんとおばさん、いとこも到着していた。

 テーブルを2つ並べ、買ってきたお寿司やおかずを並べていく。ちゃんと買い物ができるのか、と親戚のおじさんが私に向かって呟き、本当に、と何人かが賞賛の声をあげる。買い物くらいできるだろ、と私は返す。

 鹿追のおじさんが、夜勤から帰ってきて朝ごはんがだんごだけだったと言い、鹿追のおばさんが、やっぱり言うと思ったと、口論気味になり、私の隣に座っていた苫小牧のおじさんは、この二人はボケないわ、と言い、私は、そうだね、と返した。

 鹿追のおばさんだったか、お盆みたいだね、と言った。今年のお盆は、皆で集まらなかったらしい。私も、ここ何年かはお盆に休みを取れないので、こうして会う機会が少なくなった。

 帰りは、私が一番最初で、親戚一同が、家から出て、手を振ってくれる。私は、クラクションを鳴らし、それに応える。