どんまい

いろいろあるけれど、それでいい

ゆでこぼす

 試験当日だというのに、森村泰昌『「美しい」ってなんだろう?美術のすすめ』を開き、バスに乗り、地下鉄に乗り換えて、試験会場に向かった。

 社会人になっても、学ぶことは必要だとわかっているし、職員にも、学ぶように伝えているけれど、試験勉強のような勉強は、おもしろくなく、意味を見出せない。ただ、資格は取得しておきたくて、誰に薦められたわけでもないのに、自ら、進んで、受験をしている。そんなに勉強をしていないのに、机に置いてある受験票を眺めながら、18000円は高いなあ、落ちたくないなあ、とは思う。

 試験を終え、自分のご褒美に、お菓子を買い、自宅でごろごろしていると、妻から、試験のお疲れさま会をしよう、とLINEが来た。今日は、焼肉の気分だったから、近所の焼肉屋に行きたいと伝えた。

 妻が帰ってきて、近所の焼肉屋に電話をすると、今日は、満席でして、と断られる。これで1勝4敗。つまりは5回、焼肉屋を訪れ、1回しか店の中に入れていない。ちなみに高級な焼肉店ではない。地元に愛され、常連客が通うような個人で営んでいる焼肉店だ。

 一度、気持ちが焼肉になっていたので、携帯で行きたい焼肉店を調べ、車で数十分の焼肉屋に到着した。

 焼肉を食べながら、試験の話をした。ゆでこぼした野菜って、初めて聞いたわ。選択肢でこれは違うという設問をはずして行くと、乳製品か、ゆでこぼした野菜だろうなってなって、乳製品じゃないでしょ、と思ったから、意味はわからないけど、ゆでこぼした野菜にしたわ。ちなみに、試験問題を読んだ時は、お湯が鍋からこぼれるほど茹でた野菜?だと思っていた。妻は、苦笑いを浮かべる。

 お腹がいっぱいになった頃には、店内が煙たくて、煙たくて、涙が止まらなくなってきた。