どんまい

いろいろあるけれど、それでいい

やきそば弁当と俺と同じ名字の友達

この文章を一人のトモダチに捧げます。


カップラーメンがこの世に一つの種類しかなくなったら、何を選ぶか?
そんなあり得ないことを考えた。

俺は迷いもせず「やきそば弁当」を選択する。
やきそば弁当とは、北海道限定のカップやきそば。

今は、期間限定で北海道以外のところでも売っている。
一度、スーパーの「お客様の声」というメッセージに、「やきそば弁当を入れてください」って書いたこともある。
それ程、愛している。


高校3年の時、よく遊んだ2人がいる。
俺をいれて3人。

土曜日の昼になったら、その友達の家で決まってカップラーメン。
俺はもちろん「やきそば弁当」。

やきそば弁当のお湯は、窓から捨てていた。
友達が窓から捨てろというから、捨てていた。
冬の厳しい北海道にも春がきて、雪が解けると、その友達の家の窓の下には、
やきそば弁当のカスがいっぱい落ちていたって言っていた。


その友達は、俺と同じ名字。
最初の出会いは、高校入って間もない頃、
2組合同でする体育の授業だった。

俺は自分の名前を呼ばれて、威勢良く「はい」と返事をした。
しばらくたって、また俺の名前を呼ばれた。
2度、威勢良く「はい」と返事をした。

その時、初めて、隣のクラスに俺と同じ名字のやつがいることを知った。
よく人間違いもされるが、名前まで、どこにでもいる名前。


その3人は、同じ大学を受験する。
合格発表も3人で見に行った。
1人は、合格。
俺と俺と同じ名字の友達は不合格。

そして、1年遅れて、2人は大学に合格する。
別々の大学に行くことになった。
俺は北海道を離れた。
俺と同じ名字の友達は北海道に残った。

会う機会は少なくなったけど、
会うたび、電話をするたび、
「北海道にそろそろ帰ってこいよ」と言ってくれる。
その一言が、すごい嬉しい。
帰る場所があるんだなって思う。
帰る場所があるから、踏ん張れるんだと思う。


その俺と同じ名字の友達は3月に結婚する。