「受験シーズンなんだなぁ」と昔のコトを思い出した。
ひさしぶりに一通の手紙を読み返してみた。
9年前の1996年1月20日の消印が押してあるその手紙は、
妹から届いた一通の手紙。
1996年の冬は、大学受験のための浪人生活をしていた。
試験間近だった。
大学受験を落ちたら、どうなるかなんて考えていなかった。
合格するしかなかった。
後先のことなんて考えられない程、考えたら不安に押しつぶされそうな程、
切羽詰まっていた。
張りつめた毎日を送っていた俺の元に届いた妹からの手紙。
一枚のあっという間に読めるくらいの短い手紙。
ベッドに上がり、その手紙をひらいた。
「今までがんばった成果が出るといいね」
数行、読んで涙が出てきた。
どんどん涙が出てきた。
「合格することを祈っています。(家族一同)」
張りつめていた気持ちが切れたかのように泣いた。
応援してくれている人がいるんだって、心配してくれている家族がいるんだって、泣きじゃくった。
普段は、意識もしないほど、空気のように当たり前の存在。
家族。
家族から電話がきても、そっけなく返事をするだけの俺。
恥ずかしいし、照れくさいし、泣いたことは妹に言っていない。
たぶん。
初めて妹から届いた手紙。
あれ以来、手紙は来ていない。
困った時にしか電話はしてこない。
それで良い。
普段から仲良くしているのは照れくさい。
元気にしてるか?
笑っているか?