どんまい

いろいろあるけれど、それでいい

木藤瑞穂追悼展

 8時に空港に着いたのに、飛行機に乗り遅れて、間もなく、13時になる。数ヶ月前、飛行機には乗らないのに、仕事で空港に来た際に、空港は、なんかワクワクするな、と思った。それは、これからどこかに出かける人たちが、ワクワクしている感情で満たされているからなのではないだろうか、と思ったことを思い出した。

 少なからず、私みたいな人も空港にはいる。館内放送で、航空会社のアナウンスが流れる。私の名前も呼ばれていたのだろうか。

 15時の飛行機に乗り、成田空港に到着するのが17時10分。東京に行こうと思った、きっかけである木藤瑞穂追悼展は17時までなので、間に合わない。追悼展を運営しているスタッフの方に、飛行機に乗り遅れてしまい、17時まで到着するのが難しくなった旨をメッセージする。facebookで、来場した人たちの様子を携帯電話で読む。妻にもLINEする。変更できる飛行機でよかったね、と妻から返ってくる。いや、変更できず、航空券を買い直した。しかも買い直した航空券も日付が間違っていて、さらに手数料が、かかったということは、返信しないでおいた。

 本来は往復2万円の航空券が、往復5万円になった。

 片道2万5千円であれば、通常の航空券を買ったのと変わらないと頭の中で計算する。飛行機に乗り遅れるのは初めてだけど、昔から、こういう失敗をした時に、たどる思考回路で、お金で取り返せる失敗であればたいしたことはないと言い聞かせていたのを思い出した。ただ、今回は、追悼展に行けなかったわけだから、取り返せていない。

 空港内のラウンジに行き、飲み物を飲み、ブログを書き、落合加依子『浮きて流るる』を読む。時間の経過とともに、心が少しずつ穏やかさを取り戻していく。追悼展のあとに会う約束をしていた大学の友人である真之介に、追悼展に行くのはやめることにしたから、そのまま会いに行くとLINEをする。

 予定を立てるのが苦手で、宿泊するホテルを予約したのが、前日のこと。2泊目の宿泊先は、予約すらしていない。仕事では、そんなことないのに、プライベートになると、予定を立てるのが苦手になるのはなぜだろうと、妻に話すと、優先順位が同じだからじゃない、と言われ、納得した。もしかしたら、追悼展で、出会った人や再会した人と話が盛り上がり、じゃあ、食事に行こうかというようなことになるかもしれないとか思っちゃう。思っちゃうと、そのあとに予定を入れるべきかで迷い、迷った挙句、予定を決められない。

 17:10。定刻通り、飛行機は到着し、スカイライナーに乗る。Googleで到着時刻を調べると19時。成田空港からだと思いのほか時間がかかる。上野駅から出た交番前で、真之介と合流し、上野の飲食店街を歩く。この辺りで食事をするのは2度目だけど、相変わらず、人が多い。コロナ禍の外出制限がかかっていた頃の東京は、大変だったんだろうな。大変なのは、どこも同じだけど、東京は、特に、大変だったのではないだろうか。真之介と上野駅で、別れ、新宿に向かっている地下道を歩きながら、時計を見ると、23時で、昼の11時みたいに人がいるな、と思った。