難しいなあ、と呟いている部下の言葉を聞きながら、私も20代の頃、同じように、「難しいなあ」と言っていたのを思い出した。
何に対して、難しいと言っていたのか曖昧だけど、たぶん人間関係のことだろう。
いつからか難しいなあ、とは言わなくなった。
人間関係は難しいけれど、やらなければならないことはわかっている。
やらなければならないことがわかっているけれど、できるかは別。
簡単なことだけど、なかなかしていないこと。
相手の気持ちを想像すること。
自分から相手が喜ぶことをすること。
私が、20代の頃、尊敬する上司に、どうすれば円滑な人間関係を築けるか訊いたところ、「聞くことだね」と教えてくれた。単純すぎてびっくりしたけれど、理由を聞いて、なかなか含蓄深いと思い、未だに大切にしている。
その上司は、相手が、なぜそのことを言っているのかをちゃんと聞くことと言っていた。確かに、聞いているようで聞いていなかったかもしれないと思った。自分が、自分が、と自分の想いが先行し、知らず知らずのうちに、相手の真意を聞こうともしていなかった。よって、話はかみ合わず、人間関係も築けない。
まあ、合わない人は合わないから、努力しても無駄という説もあるけれど。