どんまい

いろいろあるけれど、それでいい

麦わら帽子

 妻に勧められた『2020年五月の恋』をNETFLIXで観た。1話が15分ほどで、全4話で終わる。元妻に間違い電話をしてしまったところから物語が始まり、全て、シチュエーションは同じ。元夫と元妻との電話のシーン。登場人物は2人。『セトウツミ』を思い出した。セトウツミは、高校生2人が河川敷で会話をするという同じシーンで物語が進む。『2020年五月の恋』を観終わったあと、同じシチュエーションの物語を書きたいと思った。

 3連休2日目は、帽子を買いに出かけた。田中帽子店の麦わら帽子。その日の私は、雪駄を履いていたので、『ONE PIECE』のルフィみたいだ、と思った。麦わら帽子に雪駄を履いて、狸小路を歩く。シアターキノ30周年記念出版の本を買いに。『若き日の映画本』というタイトルで、名だたる映画監督、俳優の人たちが、若い人へのオススメの映画をエッセイで綴るというもの。一番バッターが詩人、文月悠光で、『害虫』という映画を紹介しており、観たいと思った。良い本というのは、最初の数ページで決まる。その後にはじめにが挟まる。おもしろい構成。はじめには、シアターキノ代表中島洋。なぜ、キノなのだろう、と素朴な疑問が湧く。『若き日の映画本』のアイデアの話が良かった。

 この『若き日の映画本』のアイデアは、私たち夫婦の友人である「本屋のオヤジ」こと久住邦晴さんが生前やってきたことからも大きな影響を受けています。札幌の中高生が地域の大人たちと一緒に作った映画『茜色のクラリネット』ではロケ地・琴似のまとめ役を務め、くすみ書房では「なぜだ!?売れない文庫フェア』『中学生はこれを読め!』『高校生はこれを読め!』などの面白企画を連打していた久住さんは、いつも言っていました。「大切なのは、大人のおせっかいです」『若き日の映画本』

 

「大人のおせっかい」という言葉が、心の中で木霊した。久住さんは、なぜ、大人のおせっかいが大切だと思ったのだろうか。

 

つくると届ける

 粗大ゴミを出しにクリーンセンターに到着したのは、開始時間の30分前だった。私は、休みだというのに、明後日に控えている会議に提出する資料のことをずっと考えていて、クリーンセンターに到着してからか、到着する前に思いついたのか今となっては定かではないが、とにかく、これだというアイディアを思い立ち、ノートに書き殴っていった。アイディアは、ノートに書き殴り、ある程度、考えがまとまってから、パソコンに打ち込むという手順を踏む。

 で、その足で、蔦屋書店内のスタバに行き、一番、大きなアイスコーヒーを注文し、おかわりすると、安くなるということを知って、それは良いシステムだ、と思いながら、パソコンを開き、アイディアを書き殴ったノートを開き、ワードに、エクセルに、打ち込んで行った。

 と、そのとき、元同僚に声をかけられ、パソコンを打つ手を止めた。メタバースでわからないことがあり、蔦屋に来たとのことだった。ついこの前、何時間も話したばかりだというのに、話は熱をおびた。私は、こんな偶然を大切にする。ナイスタイミングだった。

 いったん、自宅に帰ってきて、カレーうどんを食べて、横になり、柿内正午『あまり読まない日々』を読む。柿内正午『あまり読まない日々』は、タイトルのとおり、あまり本を読んでいない日々の日記であり、柿内正午『プルーストを読む生活』がおもしろかったのは本を読んでいたからだということに気づき、私は日記が好きというよりも、読書をしている日記が好きなのかもしれないな、と思った。

 『あまり読まない日々』を読んでは、あまり読まない日々を送り、『あまり読まない日々』を読んでは、あまり読まない日々を送るという、まさしくタイトルのようなつきあいをしていたが、『プルーストを読む生活』がH.A.Bから出版されたという話あたりから面白くなってきた。

 『プルーストを読む生活』のデザインを決めるため、初めて松井さんと、中村さんや平本さんを交えてお話をした時、僕は「ON READINGや SUNNY BOY 簿尾ksに似合う本がいい」というお願いから始めたのだ。本の形を決めるときに念頭に置いていた好きなお店にまっさきに置いていただけて、さらには初めてのトークイベントまでやらせていただけたこと、ものすごく嬉しかった。柿内正午『あまり読まない日々』p173

 この前読んでいた広告Vol.415と同じようなこと言っていると思った。私は、こんな偶然を大切にする。

 ものが同じでも、いつどのように手に入れるかで、そのものの価値の感じ方は異なります。「ものづくり=価値づくり」だとすると、「つくる」と「届ける」が有機的に統合した状態として「ものづくり」を捉えるほうが本質的なのではないでしょうか。しかし、いまの社会では「製造業」と「流通業」と言われるように、このふたつを別の産業だと捉えることで「ものづくり」の意味が矮小化されてしまっているのです。『広告Vol.415』

 どのように届けるか、ということは全く頭になかっただけに、もう少し、考えた方が良いことのように感じた。たぶん、いつか、思い出すのだろう。

仕事とは

 今週号の『週刊わたしの考え』をいつものようにコメダ珈琲店で、カタカタとパソコンで打つ。今週号は、『仕事とは』。以前、書いたブログを読み直しながら書いている。書いている途中で、隣の席に男性が3名座って仕事の話を始めた。ふと、顔をあげると満席だった。私は席を経ち、自宅に戻って、続きを書くことにした。いつもなら火曜日に送信するのだが、書き終わったので、スラックに送信した。

 珍しく、2連休なので、新型コロナウィルスの予防接種に行こうと思って、ネットで調べると、どうも予約をしていないと受けられそうになかった。戌井昭人『沓が行く。』を読みながら昼寝をし、このままだらだらと過ごすのも、もったいないとも思い、ブックオフに本を売りに行き、ブックオフの近くの靴屋で、今年2足目の赤いコンバースと何十年かぶりに雪駄を買った。買ったばかりの雪駄を履いて、期日前投票に行き、それにしても魅力ある政党がない、と嘆き、スーパーに行って、ジャガイモと玉ねぎと肉などを買って、自宅に着き、柿内正午『あまり読めない日々』を読んだり、カレーライスを作った。

 

沓が行く。

 

 前々から欲しい靴があって、靴は、できれば履いてから購入したいけど、北海道に実店舗がないため、ネットで買おうかどうか迷っていたら数年が経っていた。2日間限定で札幌に出張販売するとの情報をインスタで知り、この日を待ち望み、たたきつけるような雨のなか出かけた。車から降り、ビニール傘をさすと、店舗にたどりつく前に、風に煽られ、傘は壊れてしまった。欲しいと思っていた靴は、普段履いている靴のサイズとは違った。2ヶ月待ちということで、予約だけして帰ってきた。

 ちょうど昼を過ぎた頃だったので外食をすることにした。車に入っていた折りたたみ傘を持ち、喫茶店に向かった。この店では、カツスパゲッティしか注文したことがない。他のお客さんが食べている他のスパゲティも美味しそうだけど、カツスパゲティを食べたくて、この喫茶店に来ていると言っても過言ではないので、やっぱりカツスパゲティを注文した。私は、カツスパゲティに夢中になり、週刊少年ジャンプONE PIECEに夢中だったから、誰かが、私の椅子にぶつかったけど気にすることもなく、会計を済ませて店を後にした。傘をさそうと開いたら、柄の部分が曲がっていた。もう傘はない。

たまたま

 たまたまを大切にしている。たまたま一緒に働いている。たまたまの会話の内容。たまたま頭に浮かんできた事柄。たまたまが、ただのたまたまに感じなくて、たまたまが私に何かを伝えてくれているように感じる。

デコピン

 美容師さんは、兄妹でデコピンをやりあっていた、と思い出を語った。このやり方が一番、痛かったです、と実際のやり方もふまえて。デコピンをやりあっていたというその無意味さに、わたしは、笑った。笑いながら、千円札3枚を美容師さんに渡した。車に乗って、こういうのを平和と呼ぶのだろう、と思った。思ったと同時に、私が妹と、うんちには、どんな種類があるのかを出し合おうとノートに綴った日々を思い出した。

週刊わたしの考え

 いつものコメダで、『週刊わたしの考え』という名の資料をスラックに送った。かれこれ3ヶ月目になる。毎週、毎週、休みの日にコメダ珈琲店に行き、私の考えを打ち込み、職員に送る。私は、楽しく作成しているが、その資料を職員が読んでいるかはわからない。もはや自己満足なのかもしれない。

 その日は、その後、自宅で読書をして、ヒシガタ文庫に行き、コーヒー染めのポーチを購入して帰ってきた。

 その車中で、なぜか、昔、作っていたポストカードのことを思い出した。そのポストカードは、写真と私が思いついた言葉を合わせた写真詩のようなものだったのだけど、そのポストカードの営業に行った店舗で、メッセージがないものはないのですか?と聞かれ、その当時は、それじゃあ、置かなくて良いと思ったけれど、今になってみると、写真だけの方が良かったかもしれないなとも思ったりした。また、私のそのメッセージを見ながら、責められているようで辛いと言った人がいて、私は、そんなつもりがなかったから、なぜだろう、と考え、今ならわかるけれど、そんなことを思い出しながら、もしかしたら、『週刊わたしの考え』もそんなふうになってしまってはならない。というか、今、この出来事を思い出したのは、何かの啓示かもしれないと思った。

 自宅でソファに横になりながら、ツイッターをつらつらと眺めていると、よくなる時も悪くなる時も理由は一緒で、それは一つ一つの仕事の丁寧さを失ったときとあって、例えば、締め切りが間に合わなくても良いかとかそういうことで、思い当たるところあると思って、この話を職員に伝えたいと思った。再来週号は、調子が悪い時の対処法にしようかしら。