どんまい

いろいろあるけれど、それでいい

つくると届ける

 粗大ゴミを出しにクリーンセンターに到着したのは、開始時間の30分前だった。私は、休みだというのに、明後日に控えている会議に提出する資料のことをずっと考えていて、クリーンセンターに到着してからか、到着する前に思いついたのか今となっては定かではないが、とにかく、これだというアイディアを思い立ち、ノートに書き殴っていった。アイディアは、ノートに書き殴り、ある程度、考えがまとまってから、パソコンに打ち込むという手順を踏む。

 で、その足で、蔦屋書店内のスタバに行き、一番、大きなアイスコーヒーを注文し、おかわりすると、安くなるということを知って、それは良いシステムだ、と思いながら、パソコンを開き、アイディアを書き殴ったノートを開き、ワードに、エクセルに、打ち込んで行った。

 と、そのとき、元同僚に声をかけられ、パソコンを打つ手を止めた。メタバースでわからないことがあり、蔦屋に来たとのことだった。ついこの前、何時間も話したばかりだというのに、話は熱をおびた。私は、こんな偶然を大切にする。ナイスタイミングだった。

 いったん、自宅に帰ってきて、カレーうどんを食べて、横になり、柿内正午『あまり読まない日々』を読む。柿内正午『あまり読まない日々』は、タイトルのとおり、あまり本を読んでいない日々の日記であり、柿内正午『プルーストを読む生活』がおもしろかったのは本を読んでいたからだということに気づき、私は日記が好きというよりも、読書をしている日記が好きなのかもしれないな、と思った。

 『あまり読まない日々』を読んでは、あまり読まない日々を送り、『あまり読まない日々』を読んでは、あまり読まない日々を送るという、まさしくタイトルのようなつきあいをしていたが、『プルーストを読む生活』がH.A.Bから出版されたという話あたりから面白くなってきた。

 『プルーストを読む生活』のデザインを決めるため、初めて松井さんと、中村さんや平本さんを交えてお話をした時、僕は「ON READINGや SUNNY BOY 簿尾ksに似合う本がいい」というお願いから始めたのだ。本の形を決めるときに念頭に置いていた好きなお店にまっさきに置いていただけて、さらには初めてのトークイベントまでやらせていただけたこと、ものすごく嬉しかった。柿内正午『あまり読まない日々』p173

 この前読んでいた広告Vol.415と同じようなこと言っていると思った。私は、こんな偶然を大切にする。

 ものが同じでも、いつどのように手に入れるかで、そのものの価値の感じ方は異なります。「ものづくり=価値づくり」だとすると、「つくる」と「届ける」が有機的に統合した状態として「ものづくり」を捉えるほうが本質的なのではないでしょうか。しかし、いまの社会では「製造業」と「流通業」と言われるように、このふたつを別の産業だと捉えることで「ものづくり」の意味が矮小化されてしまっているのです。『広告Vol.415』

 どのように届けるか、ということは全く頭になかっただけに、もう少し、考えた方が良いことのように感じた。たぶん、いつか、思い出すのだろう。