仁義なき戦い〜札幌すすきの編〜
体がバキバキ言いやがる。
「あの壮絶な戦いのせいだな」と思い出す。
この仁義なき戦いは長い歴史がある。
たぶん、今回で三度目の戦い。
この戦いは決まって、北海道の歓楽街。
札幌市「すすきの」にあるバッティングセンターでおこなわれる。
お互い野球には、ひとしおの熱い想いがあり、信念がある。
まさしく、誇りをかけた戦いとなる。
初めての戦いは夏だった。
俺はビーチサンダルのまま、その戦いに挑んだ。
「勝負すっか?」って話になれば、断った時点で、負けを認めたと同じ。
どんな格好をしていようが、俺は戦う。
俺の嵐のように振られるスイング。
耐えきれなくなったビーチサンダルは、悲鳴をあげながらブチ切れた。
戦いが終わった俺は満身創痍。
ブチ切れたサンダルを引きずりながら、歓楽街を歩く。
戦いを終え、飲み屋に行った時、
トイレのスリッパとビーチサンダルをトレード。
トイレのスリッパで北海道の県庁所在地、札幌を歩くはめになる。
次の日もだ。
次の日の朝、トイレのスリッパを履き、靴屋にむかったんだ。
そいつは知らないだろうけど。
あまりにも無惨。
敗者には容赦のない仕打ち。
そして、今年も開催された。
結婚式の二次会を終え、ホテルで横にでもなろうかと思ったその時。
携帯電話がなる。
「俺は疲れたんだ。休ませてくれ」
そうつぶやきながら、俺は携帯電話にでなかった。
すると今度はホテルのフロントから電話。
「お電話です」
わかっていた。
その友達からの電話だということわ。
電波が悪くて何を言っているのかもわからなかったけれど、
「三次会に来い!馬鹿野郎」とでも言っていたのだろう。
ここのホテルは、予約も料金も俺がとことんつきあえるように、その友達が用意してくれたものだった。
「三次会に来い!馬鹿野郎」と言われれば、その恩に報いなければならない。
そうして、三次会に向かうはずが、戦地に向かう。
お決まりのバッティングセンター。
やはり、俺達は戦いをさけることができない運命(さだめ)。
戦いの結末は、ここでは書かないことにする。
それが、因縁のライバルに対する礼儀。
この戦いのおかげで、俺は三次会の時に、足をつりそうになる。
次の日は、5時起きで、北海道をあとにした。