コンビニのレジで並んでいると、隣のレジから「電話して聞け!」と男性の怒声が聞こえてきた。
怒声を浴びた小柄な店員は、青ざめた表情で、レジ後ろに置いてあった白い電話を手にとった。電話をとり、で、どこに電話するの?と、我に帰り、私が並んでいたレジの店員に、助けを求めた。
小柄な店員の胸には、小さな若葉マーク。新人か。何か、わからないことがあって、待たせすぎたのか。
新人と交代してクレーマーの前に立つ大柄な男性は、なんで、俺が対応しないとならんのよ、と心の声が聞こえそうな気もしたが、表情が顔に出ないタイプ。通称、ポーカーフェイス。
ああ、コンビニを経営しなくて良かったわ、とコンビニ経営なんて考えてもいないのに、頭を過ぎる。
穏やかに生活がしたいが口癖の私は、まあ、まあ、まあ、と割って入るか、迷う。
商品の会計を済ませた頃には、怒声は聞こえなくなり、大柄な店員の姿も見えない。店長に報告をしに行ったのか。
弁当を手に持った私は、コンビニを後にした。
月が、こんなに綺麗な夜なのに。