どんまい

いろいろあるけれど、それでいい

どういう時に生きていて良かったって思いますか?

 東京に向かう私の手荷物を見た妻が、海外旅行に行くみたいだね、と言って見送った。

 私は、トランクケースを引きづりながら、徒歩で最寄駅に向かった。以前は、ボストンバッグを使用していたのだが、本を購入すると、猛烈な重さになるので、トランクケースのほうが便利だということになった。行きのトランクケースの中身は、半分が空だった。

 新千歳空港に到着したのが、7時30分頃で、喫茶店でアイスコーヒーを飲みながら、小島信夫『ラヴ・レター』を読んだり、アプリで搭乗手続きの方法を調べた。7時50分に携帯電話から通知音が鳴り、搭乗手続きの案内があった。アプリでの搭乗手続きは初めてだったけど、便利だ。手荷物を預ける前に、お土産を買い、手荷物を預け、早々に、保安検査場を通り、ハサミをカウンターに預けるか、処分してください、と言われ、処分してくださいと伝え、飛行機に搭乗するまでの間、日記を書き、小島信夫『ラヴ・レター』を読んだ。ニュースでは、東京なのか、雨が激しく降っている様子が流れていた。

 飛行機は満席ではなく、隣の人との間に空席があった。私は窓側で、廊下側が若い女性だった。トイレに行きたかったけれど、若い女性は寝ているのか、音楽を聴いているようだったので、声をかけづらく、我慢できそうだったので我慢した。成田空港に到着する頃には、小島信夫『ラヴ・レター』を読み終わった。

 成田空港は晴れていた。成田空港からギャラリー・アートアンリミテッドのある六本木に向かった。ゴールデンウィークが終わる頃、私のInstagramの広告に、マイケル・ケンナの写真展の案内が表示された。なぜ、私がマイケル・ケンナを好きなのがわかるんだろうと思いながら、写真展の詳細をホームページで調べた。ちょうど5月下旬に3連休があり、航空券もセールをしていて、観に行くことにした。

 東京も北海道とさほど気温が変わらないと思いながら歩いていたのだが、日差しが出ると、やはりここは東京で、Tシャツじゃないと汗が服にまとわりついた。

 これまでマイケル・ケンナの写真は、写真集でしか観たことがなかった。写真展で写真を眺めながら、水墨画のようであり、日本画のようだと思った。

 マイケル・ケンナの写真に添えられている言葉や新聞の記事も隈なく読んだ。本当の友人に出会うためには、実際に会う必要がある。景色も同じ。実際に会う必要があると言うような言葉が書かれていて、この言葉好きだな、と思った。

 暑かったので、トイレでTシャツに着替えた。神奈川県にある本屋に向かうため、Googleマップで改めて調べると、定休日だということがわかった。先日も、美術館に到着したら休館日ということがあり、神奈川県まで行ってから気づかなくて良かったと思った。明日、行く予定にしていた神保町にあるPASSAGEに向かうことにした。電車の中で、上林暁『星を撒いた街』を読んだ。

 PASSEGEを知ったのは、たまたま妻とNHKを観ている時に、鹿島茂が特集されていて、その時にPASSEGEも紹介されていて、行ってみたいと思った。一棚一棚に店主がいる共同型書店。プロディースは鹿島茂。PASSEGEには、鹿島茂の本棚もあり、鹿島茂『大読書日記』のサイン本を購入した。あっという間に1時間は過ぎていた。

 喉が渇いたなあ、と思ったけれど、fuzkueまで我慢することにした。世田谷代田駅で降車して、ホテルに荷物を置いた。想像していた通りの昭和のアパートを改築したホテルだった。B&Bで世田谷ピンポンズ『and moreの中に入れられている』と『怒りZINE』を購入して、fuzkue下北沢店に入り、山口慎太朗『誰かの日記』を手に取った。

 今回の旅行の目的の一つは、『誰かの日記』を読破することだったけれど、手に持ってすぐに、22時までの4時間で、読める厚さではなかった、と悟った。携帯電話で、ブログを開き、以前、どこまで読んだかを確認した。2月4日まで読んでいて、栞を挟んでおいた、と記載されていたが、一年ほど前の話で、違う人が読み、栞は、当然、2月4日ではなかった。

 私は、最近、レモネードだったり、レモンスカッシュが好きで、fuzkueでもレモンスカッシュを注文したのだが、一口、飲んで、うまっ、と思って、一気に飲み干すところだった。一気するには、もったいないので、ちびちびと飲んだのだが、こんなに美味しいレモンスカッシュなら、私も、自分で作ってみようかな、と思った。

 『誰かの日記』では、沙智が、緑茶だったか、お茶を飲んでいて、友人が、立て続けに3人、何飲んでいるの?と訊く場面があった。沙智は玄関にいて今までの会話を聞いていなかったから不思議そうな顔をしていて、その顔がかわいかったと書かれていて、場面が目に浮かぶようで、この場面好きだな、と思った。

 『誰かの日記』、好きだな、やっぱり欲しいな、と思った。『誰かの日記』は文字通り、誰かの日記で、日にちによって、さまざまな人の日記なんだけど、この日記の続きを読みたい、と思った。後々、読み進めると、同じ登場人物だったり、同じ場所が登場するということを知る。

 

 2月20日

 俺にしか見えていないギャル。「俺にしか見えていないギャル」という刺青を彫る。

 

 心の中で、なぜ?と思いながら笑った。妻から、美味しいものは食べられた?少し札幌で買い物しようと思って、今、札幌に向かっています、とLINEが来た。私は、美味しいものは食べてないな、と思ったので、食べていない。今、fuzkueで22時まで読書。ホテルは予想通りの古さ。虫が出なければ問題ない、と返信した。何も食べずにこんな時間まで、というわけではないよね!?ホテルは仕方ない。読書楽しんでくださいね。と返ってきたので、つけ麺をとりあえず食べた、と返した。あまりお腹が空いていなかったけど、夕飯時になったので、スタッフのほうを見ると、阿久津さんがいて、びっくりした。鶏ハムのサンドイッチと河内晩柑スカッシュを注文した。

 1時間後に妻から、つけ麺は間違いないでしょ。URBAN RESERCHに行って、試着したけど欲しい色のサイズがなくて、取り寄せになると言われたので、ネットで買うことにした。とりあえず、試着できたからOK!LINEが来た。虫に刺された、と私は返信した。

 

 2月28日

 どういう時に生きていて良かったなって思いますか。

 

 最近、幸せについて考えていたので、この言葉が私のアンテナにひっかかったのか、そうだよね、毎日、幸せを感じることってないけれど、たまあに生きていて良かったなって思う瞬間があるくらいだよね、と思った。

 

 3月20日の誰かの日記を読みながら、栃木だったか、どこかに向かう途中に、私がおしっこが漏れそうになって、おしっこ漏れそう、おしっこ漏れそう、お腹に力が入るとおしっこ漏れそうと、好きだった人と2人で笑ったことを思い出した。

 

 4月7日の誰かの日記を読んでいるところで、初めてなんですけど、と言いながら、fuzkueに女性が入ってきて、なんか、良いな、と思いながら、読んだ。明日、会う約束している友人からも、LINEが来た。読書ってどこでしているんですか?旅先で読書ってあまり聞いたことないですね。笑。私は、fuzkue。下北沢。よくしてる、と返した。鶏ハムが切れていて作れないとのことで、カレーにすることにした。

 

 4月16日

 ろうそくの火を吹き消して鯨ちゃんは歯を見せて笑って、もう本当にこういう瞬間が毎日溢れて溢れて、そうして溢れていくことになるもせず、飽きもせず、連なって、また笑うだけが全てじゃないか、と思った。

 

 4月18日を読んでいると、犬の名前がライトニングボルトで、ライトニングボルトって、セイント星矢?と思いながら、犬の名前がライトニングボルトって良いな、と思ったけれど、こう書いていて、私だったら、犬の名前にライトニングボルトとはつけたくないとも思った。

 

 4月21日を読みながら、『誰かの日記』が次に来たときもあったら良いな、あって欲しいと願いながら読む。

 

 5月19日。たびたび登場する「おもいで」という喫茶店は、実在するのだろうか、とGoogleマップで調べる。

 

 4時間で、6月4日までしか読めなかった。半分近く。あと、4〜5時間はかかるだろう。