この話は、イギリス人とアメリカ人2人のヒッチハイカーと日本代表との話。
俺は、第2の故郷、仙台で、友達2人と久々の再会を果たし、
楽しい休日だったと、自宅に帰るところだった。
そんな晴れた日の休日の朝、
国道4号線に、1人の外国人が、ヒッチハイクをしているのが、目に止まった。
今まで、ヒッチハイクの人を乗せたことはないんだけど、
ちょうど、俺が行く方向とまったく同じだし、
なんか、楽しそうだと思ったから、
車をUターンさせて、その外国人の脇に車を止めた。
俺は時々、勝手に代表を気取る。
その外国人にとって、俺との出逢いは、
少ないかもしれないけれど、日本の印象に影響を与える。
だから、この場限りの日本代表。
日本が良い国だと思ってもらいたいという気持ちがわいてくる。
男の外国人が1人だと思っていたら、
喜んで、小走りに走ってくる女性が、もう1人。
「ありがとう」
「ちょうど、新潟に行くから。ちょっと狭いけど、乗ってよ」
こうして、いつもとは、ちょっとだけ違う1日が始まった。
助手席に乗った男性がイギリス出身のベンさん。
後部座席、運転席の逆側に乗った女性はアメリカ出身のニーナさん。
そして、運転手の俺は日本代表。
2人は、北海道、函館で、英語を教えていると言っていた。
少しばかり長い休日がとれたから、北海道から奈良を目指して、ヒッチハイクをしながら旅をしているらしい。
「なんで、ヒッチハイクなの?外国でヒッチハイクは怖くない?」
「ヒッチハイクは、日本語の勉強になります」
函館から仙台までの、ヒッチハイクの旅の話を聞いた。
「そっか。俺もインドを旅したことがあるんだ」
「私も、インドに行ってみたいです」
俺は、少しばかりインド一人旅について話をし、
「インドに行った時、俺の英語が通じなくて、ホテルがとれないことがあってさ。
その時に、イギリス人かアメリカ人かわからないけれど、
英語を話せる人が、俺を助けてくれた。
だから、今度は、俺が何か恩返しをしたいと思ってね。
だから、2人を乗せた。それに2人を乗せたら、楽しそうだと思ったしね。
どうせ、俺は帰るだけだし」
2人は、柔らかい笑顔で、俺の話を聞いていた。
「この時期に日本に来たんだったら、ぜひ、桜を観ていってよ」
「はい、青森で観ました。たぶん、函館に帰る頃には、函館にも桜が咲いていると思います」
俺は、桜の話や花火の話、
ここは、七夕が有名だとか、牛タンが有名なんだとか、
ここは、野口英世が生まれたところなんだとか、
日本代表として、あますとこなく話をしていった。
何せ、時間はたっぷりある。
順調にいっても4時間。
いろんな話をした。
「そうだ。俺の作ったポストカードがあるから見てみてよ。もし、気に入ったのがあれば、プレゼントする」
俺は、日本代表としてばかりではなく、
楽雲庵塾塾長としても、あますとこなく話をしていった。
「本当に楽しかった」
「俺も本当に、楽しかったよ。ここでお別れだね」
俺達は、その4,5時間の出逢いに、
別れを惜しんだ。
そして、今日。
一通のメールが俺の元に届く。
「昨日奈良に着いた。本当にありがとう!楽しかったね。また会いたいね。もし北
海道に来たら、メールしてください。じゃ、また。ニーナ」
「そっか、そっか、無事に辿りつけたんだね」って、
俺は、2人が元気だったのを喜び、今日1日を始める。