それは、それはバイキングみたいな、
好きなおかずを好きなだけとって、
ご飯は食えない程の大盛り。
みそ汁替わりにラーメンを頼むくらいの安価。
すべてが単品。
安価で満腹。
そんな食堂、みなさんの家の近くにはありますか?
最近、そんなオアシス食堂も増えてきて、よく目にするようになった。
そんな食堂を見ると、2つの出来事を思い出し、一人で微笑む。
貧乏人の学生時代。
それは、俺等にとっての行きつけの食堂となっていた。
仙台の街にはいくつもあった。
妹が秋田から遊びに来た時も、
その食堂に行くことになった。
「よ〜し。兄ちゃんがバイキングに連れてってやる」
そう言って、その食堂に友達と妹と行ったのである。
数日たって、妹から電話がかかってきた。
「にいちゃん。仙台出身の友達に、にいちゃんにどこにつれていってもらった?て聞かれてね。オアシス食堂(仮名)っていたら、笑われたよ」
俺は笑って、オアシス食堂(仮名)について説明してやった。
どんな食堂かを。
そりゃあ、そうだよな。
普通、寿司屋にでも行くもんな。
それが遠くから来た客人に対してのもてなし。
しかし、俺は貧乏人。
おごるのも一苦労。
もう1つの出来事。
俺と友達は、またオアシス食堂(仮名)にいた。
オープンしたてのオアシス食堂(仮名)。
「うめぇな」って良いながら、至福の時を過ごしていた。
その時。
「ガツーン」と大きな音。
振り返ると、オープンしたての、ピカピカのガラスのドアにぶつかっている一人の女性。
ピカピカの床には、ピカピカのガラスが散らばっている。
せっかくこれから、安価な金で、大きな幸せをつかめたのに。
「安価に済まそうとしたのが、かえって高くついちゃったなあ」って友達と同情した。