「どうしたの?あの1万円?」
「妹から沖縄に行くって聞いたから、気が向いたから送った」
「お金ないんでしょ?返そうか?」
「返してもらったら、格好悪いだろ」
「そう。ありがとう」
先日、送った現金書留が届いたらしい。
こんなに、すんなり喜びを表現してくるとは思わなかった。
いつも、照れ隠しで、「珍しいことをすると、天気が悪くなる」とか言ってくるのに。
3泊4日するらしい。
「観光バスを頼む」とか、
「服はどんなものが良いだろう」とか、
楽しげだった。
妹よ。良いことしたな。
オカアは喜んでるぞ。
妹と二人で親孝行らしいことをするのは二度目だ。
二度目といっても、妹は親孝行をしているらしいが、
俺にとっては二度目。
いつかも忘れた。
たまたま、母がぼそりと言った。
「明日、結婚記念日だ」
23回目くらいだったか。
初めて知った親の結婚記念日。
俺と妹が生まれるにあたっても大事な日。
妹に、その話しをした。
「明日は、オトウとオカアの結婚記念日らしい。花でも送ろうかと思う。半分、金をだせ」
俺と妹は、親が喜ぶのを想像して、行動に移すことにした。
「いいか。俺は明日、友達と遊びに行ってくるから、お前が渡しておけ」
恥ずかしいから、全部、妹にさせることにした。
そうして、次の日。
俺が友達と遊んでいるときに、妹が計画を実行した。
遊んで帰ってくると、花が飾ってあった。
「ん?メッセージも書いてあるな」
そんな作戦は計画していない。
妹が書いたほんの数行のメッセージ。
そのメッセージを読んで、あぶなく泣きそうになった。
やるな、あいつ。
今回の沖縄に行くのも、どうやら妹が先に言ったことらしい。
なぜ、彼氏と行かないのか。
なぜ、そこまで行動にうつすのか。
今度、聞いてみよう。
★★★★★
もうそろそろ、家族との日記は書かないでおこうと思ったけれども、その後の母の反応が気になるというメッセージを頂いたので書かせてもらいました。
あと、楽雲庵塾に「言葉」というページをリニューアルオープンさせました。
以前から、写真をもっと多くのせて欲しいというご意見があり、いずれと思いながら、ここまで経ってしまいました。ほとんどが自伝の時に使ったものですが、よろしければ見てください。