どんまい

いろいろあるけれど、それでいい

0800

 柴崎友香『百年と一日』を読んでいたら、佐藤泰志海炭市叙景』を読みたくなって、本棚から手に取り、最初の物語を読んだ。これで何文字なんだろうか。ショートショートには、少し長い気がする。短編連作を読みたくなるのは、第21回坊っちゃん文学賞に応募する作品を書くため。イメージトレーニング。

 そうこうしていたら、自宅のインターフォンがなった。インターネット回線の工事のために作業員が来たのだった。

 二ヶ月ほど前、料金が安くなるので、インターネット回線を切り替えませんか?と連絡が来て、料金が安くなるならと切り替えたのだが、契約書が自宅に届き、よくよく読むと、なんら安くはなっておらず、というか、微妙に高くなっていて、再度、インターネット回線を切り替えることにした。結局、使用したのは二ヶ月のみ。

 今度のインターネット回線は、アパート入居者は無料です、というインターネット回線だった。もう少し早く、わかりやすく、アパート入居者に知らせてよ、と思わなくもないが、ナイスタイミングと言えば、ナイスタイミングであり、そもそも、ここに住み続ける間は無料になるのだから、それは、家賃が安くなったに等しいという考え方もできるわけで、どちらにせよ、ありがたい話ではある。

 作業員は、引越し業者が、床を傷つけないために持参したシートというかマットを床に敷くみたいに床に敷き、コンセントを取り外し、持参した緑色のケーブルを、するすると中に入れては外に行き、また自宅に入って、出てを繰り返した。後ろ姿が、斉藤和義みたいだな、と思いながら、『海炭市叙景』を読んだ。

 作業自体は1時間もすると終了し、次の予定である美容室まで時間があったので、コメダに行くことにした。コメダでノートパソコンを起動させ、In designを開いた。まだまだIn designを使いこなせてはいないが、それなりには使えるようになってきている。

 集中して書いていると、あっという間に美容室の予約時間に近づいており、美容室に向かい、駐車場に到着したところで、財布を忘れていることに気づいた。

 美容師に、また財布を忘れてしまいました、すみませんと謝罪した。今回で二度目であり、いつも寛容な美容師は、笑いながらつけておきます、と私の髪を染め始めた。

 その間、前述のインターネットの話をすると、うちも電力会社から安くなるので切り替えませんか、と連絡が来ることがあります、「0800」で始まる電話番号は注意したほうが良いみたいですよね、と言った。インターネットの切り替えの連絡も「0800」で始まる電話番号でした、と返した。

 自宅に着き、妻が、坊っちゃん文学賞に応募する作品の一つを書き上げ、2作目に取りかかると言っていた。私に、坊っちゃん文学賞の存在を教えてくれた妻が、自分でも書き始め、書くのが楽しいと言っていた。