どんまい

いろいろあるけれど、それでいい

ひいらぎ

 春になったし、歩こうと思って、札幌まで、バスで向かうことにした。バスを待つまでの間、ジョン・グレイ『猫に学ぶ』の続きを読んだ。風が強いし、寒くて、本を持つ手を交互にポケットに入れた。

 バスに乗車してからも『猫に学ぶ』の続きを読んだ。車を運転するよりも、こうして読書ができるほうが、良い時間の使い方だと思った。

 札幌ファクトリーでバスを降り、歩いて、珈琲・軽食ひいらぎに向かった。妻が先日、訪れた喫茶店で、妻の話を聞いていたら、私も行きたくなった。雨が少しだけ降ってきたので、今のうちに傘を買おうと思って、コンビニで、傘を買ってから、珈琲・軽食ひいらぎに到着した。

 手書きの絵と手書きの字のメニュー。私は、喫茶店では、たいていアイスコーヒーを注文するのだが、寒かったので、チャイにすることにした。チャイとピザトースト。店内は、手入れが行き届いているというか、大切にされている感じがした。『ひいらぎ』の花言葉を携帯で調べた。用心深さ、あなたを守る、保護、剛直、先見の明、歓迎。どんな想いを込めたのだろう。

 ピザトーストを食べながら、『猫に学ぶ』の続きを読んだ。

 

 時とともに死に近づいているという無力感から身を守るために、人間は自我を作り出したのだ。

 ジョン・グレイ『猫に学ぶ』p130

 

 自我?なぜ自我を作り出す必要があったのだろうか。よくわからない。チャイも飲み干して、ひいらぎを出ると、空は曇りだが、雨は降りそうもなかった。なんのために傘を買ったのだろうか。シーソブックスにも行きたかったけれど、寒いので、帰ることにした。札幌ファクトリーのバス停に戻り、時刻表を見ると、40分後だった。40分は長いな、と思った。

 札幌ファクリーの店内に入り、猫喫茶のような店の前のベンチに座って、『猫に学ぶ』を読んだり、猫を見ながら、あいかわらず猫はかわいいな、と眺めた。

 

 次の日、仕事から帰ると、妻は、私たちが飼っていた猫が夢に出てきた、と喜んでいた。