泣きっ面に蜂、蜂、蜂というほどに問題が勃発して、鏡の前で、ヘルペスになりそう、と唇に意識を向けた。
弱っている時に、どう立ち振る舞うかって大事だよなあ、と何度となく、心のなかで、呟く。
「退かぬ!媚びぬ!省みぬ!」北斗の拳に登場する聖帝サウザーの言葉を思い出した。誰かが何とかしてしてくれると他力本願になったり、他人に媚びて難を逃れるようなことはしない。これまでも私はベストを尽くしてきた。力及ばぬことはあれど、ベストを尽くしてきた。であれば、非難は黙って受け止めよう。堂々と胸を張れ。
先日、読み終わった川井俊夫『金は払う、冒険は愉快だ』は、今、私が読むべき本だった。
絶望の淵を彷徨っているのに、気高い。自分の美学というか、自分自身の哲学というか、自分のルールを持つ。ホームレスになり、アル中になり、一人の女性と出会い、復活を果たす。
『金は払う、冒険は愉快だ』を読み終わったあと、もっと川井俊夫さんのことを知りたくなり、川井俊夫さんを検索すると、川井俊夫『羽虫』という電子書籍があることを知り、購入した。もっと、川井俊夫さんのことを知りたい。のちに妻となる、その一人の女性との出会いをもっと知りたい。
俺だけのルールがある。俺専用のやつがな。誰だってそうだろ?俺たちは世界のすべてを全員で共有しているわけじゃない。たまあに交錯したり、部分的に共有してるだけだ。だから自分の世界を生きるには、自分だけのやり方がいる。他のやつのやり方じゃダメなんだ。川井俊夫『金は払う、冒険は愉快だ』