どんまい

いろいろあるけれど、それでいい

やめたほうが良いよ、と彼女は言った

 色とりどりの靴下を眺め、手に取りながら、私の頭の中では、20代の一場面が自動再生された。

 たまたま乗ったバスに職場の同年代の女性が乗っていて、その女性の隣の席に私は座り、世間話をしていたのだが、私の靴下を見て、なんで白なの?と言った。白なんてダサいよ、という言外の意が込められていた。私は、高校生の時から、靴下はほぼ白で、なんで白がダサいのだろう、とわからなかった。私の身なり、言動を直した方が良いと言ってくれる女性というのは、そう出会わない。なぜか、時々、思い出す思い出で、私は、その風景を嫌な思い出や恥ずかしい思い出として思い出すのではなく、どちらかというと、微笑ましい思い出として、思い出す。

 その女性から、数年ぶりにLINEで連絡が来た。仙台育英高校野球部の須江航監督を特集していたテレビ番組が良かったとのことだった。野球を見ると、時々、私を思い出してくれるようだった。そのテレビ番組の見逃し配信を探したが、見つからなかった。

 先日、たまたまWBCの特集をされている雑誌を買いに蔦屋書店に行ったら、須江航監督の著書が置かれていて買って帰ってきた。

 人が生きて生きていくうえで絶対に欠かせない、目標を達成するための思考法や、物事を本質から理解して判断する能力(一言で言えば「知性」)、自己を律して自己を確立し、問題と向き合う能力を身に付けることが、高校野球に取り組む目的だと考えています。須江航『仙台育英日本一からの招待』p25

 チームのスローガンやモットーを言葉にすることにこだわりがあり、「言葉によってチームの方向性が決まる」と思っています。須江航『仙台育英日本一からの招待』p46

 チームづくりは文化づくり 須江航『仙台育英日本一からの招待』p136 

   時を守り、場を清め、礼を正す 須江航『仙台育英日本一からの招待』p137

   読みながら、私の組織運営にもあてはまるという言葉があった。これを高校生がやっているのか、と。これが、日本一になるチーム運営なのか、と。

 道路が顔を出し、道路脇の雪が汚れている。もう少しで春だ。今年は、WBCで球春が到来する。