あれは、こんな夏の日だった。
引っ越しして1年目か2年目のこと。
俺は、家でくつろぎながら、テレビを観ていた。
頬杖をつきながらね。
突然、家のドアが開いた。
俺「!!」
何が起きたかわからなかった。
頬杖をつきながら、玄関の方を振り返ると獅子舞がいる。
正確に言うと、獅子舞じゃないのかもしれないけれど、そんなことはどうでもいい。
とにかく玄関に獅子舞がいる。
俺は、何が何だかわからないまま、獅子舞のいる玄関にむかった。
すると、子どもが数人と大人一人。
祭りのはっぴを着ている。
「おねがいしま〜す」と金を請求してきた。
俺は、意表をつかれている。
すぐさま、財布を出した。
危なく、千円を出すところだったが、かろうじて冷静さを取り戻し、その時あった、五百円を渡した。
かなり意表をつかれた夏。
地域にそんな祭りがあるなんて知らなかった夏。
あれ以来、あの獅子舞とも会っていない。