どんまい

いろいろあるけれど、それでいい

リンゴ事件

そういえば、昔、俺も何度か、大人に疑われたっけ。
ふと15歳の時の、あの事件を思い出した。


名づけるならば、『リンゴ事件』とでも呼ぼうか。


あれは、テスト期間中の放課後だった。

俺達は、6、7人で、体育館の器具室に集まり、
分厚い、弾力性のあるマットを広げ、
ひたすらバク転の練習にいそしんだ。

なぜ、バク転をするかというと、
バク転ができる=かっこいい。
ただ、それだけだった。

その器具室には、
俺達がかわいがっていた2人の後輩もいた。


代わる代わるバク転をする。
今、考えれば、アホだが、
そんなことを何度か繰り返していた時。

「おまえら、何をしてるんだぁぁあ」
怒声をあげ、一人の教師が、器具室に入ってきた。

「テスト期間中だ、早く帰れ」

めんどくさい奴がきたと、
一人、また一人と黙って器具室を出る中、
「お前らは残れ」
そう指名を受けたのが、
俺ともう一人の友達だった。

めんどくさそうな顔で、
その教師の前に並んで立った。


「おまえら、あいつらを苛めていたんだろ?」
あいつらっていうのは、2人の後輩のことを指していた。

予想外の展開に、
「いや、ただ遊んでいました」と本当のことを言った。

「嘘を言うな」
これまた、予想外の返答が返ってきた。

「いや、遊んでました。なんなら、その2人に聞いてください」

「その2人は、本当のことをいわんだろ?」

このやった、やってないが、繰り返される中、
教師は、一つの例を言う。

「いいか、店にリンゴがあったとする。そのリンゴに手を伸ばしていたら、盗むと思うだろ?」




いや、思わない。
普通、買うだろう?
なんだ?この例えは?

これがリンゴ事件。
くだらない話を長々と書いちゃったね。


時々、俺は、大人に疑われた。
ただ、信じてくれた大人も同時に存在した。
だから、笑い話ですんでいるのかもしれない。


俺は、辻内智貴の『信さん』という本を読みながら、
そんな記憶が蘇った。

疑われる信さんという子ども。
確かに悪さをするんだけど、
やってもいない悪さも信さんのせいにされた。


そこに登場した一人の大人。
この大人が良いんだわ。
あったかいんだわ。





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今日、紹介した本はこちらです。


信さん
辻内 智貴
小学館

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