どんまい

いろいろあるけれど、それでいい

炭鉱の町3


炭鉱や古い建物を求めて、一日中、車を走らせ、あたりは、すっかり真っ暗になった。
もう、これじゃあ、炭鉱も見れんなと思い、俺は、母に電話をした。

「たぶん家に着くのは、8時か9時くらいだから、飯をとっておいて」

電話を切った後、子どもの頃、真っ暗になるまで遊んでいたのを思い出した。
「夜ご飯までには帰ってきなさい」と母が言っていたけれど、今は、何時だって文句を言われないからな。大人って良いな。
そんなことを考えながら、実家に辿り着いた。

「いやぁ、楽しかったわ。今日、行けなかったところがあるから、また明日行く。三笠に行くわ」
「また?」母は驚いた表情で言い、「明日も弁当を持って行くかい?」と、少し張り切っているようでもあった。


そんなわけで、翌朝。
また7時くらいに起き、カメラと弁当を持ち、炭鉱の町に向かった。
向かった先は、三笠という名の町。

昨日も来た三笠。
ただ、日が沈んだ頃に到着し、ぎりぎり見れるか見れないかというところで、道に迷って、真っ暗になった。
真っ暗は、こえぇってことで撤退。
そして、再び、同じ道を通っていた。

地図で行けば、やっぱりこの道なんだよなぁと思いながら、三笠市街に入り、もうこうなったら観光案内所でも探して、聞くしかないなと思っているところ、せっかくだから、幌内地区に先に行こうかなってことで、三笠市内の幌内地区という場所を目指した。
幌内地区には、北海道で最も古い炭鉱跡地がある。
炭鉱以外にも古い、雰囲気がある建物があった。

うぉ〜。

朽ち果てたコンクリートの建物が、生い茂る草の間から見え、鼓動が徐々に高くなっていった。
”景観公園”。公園かぁ、雰囲気でねぇなって、ちょっとがっかりしながら、車を止め、景観公園に建ててある看板を眺めた。

”ところどころ危険ですので、ご注意ください”

少し歩いて、スタート地点で見た看板の意味を知った。
全然、公園じゃねぇ。公園という名にふさわしくねぇ。
草をかき分け、土はぬかるみ、靴が泥だらけになりながら、前に進んだ。
熊すら出没しそうだ。
まじ、おかねぇ。
こんな真っ昼間なのにおっかねぇ。

ガサッ、ガサッ、ガサァァァアアアアッ。

ものすごい音をたて、草が動いた。

うぉぉぉおおおおお。

何かいる、何かいる、何かいる。
一人で来るところじゃね、ここは、一人で来るところじゃねぇ。

熊じゃないことを祈った。
俺の祈りは神様に届き、びびって、ちゃんと見れなかったが、たぶん鳥。

ここは、立入禁止にしたほうが良いんじゃないかと思う場所がある程、
その当時の状態から、今に至る時間の流れを感じる雰囲気があった。
無事に見終わって辿り着いた時には、ここは最高の場所だったという気持ちにすらなっていた。
もう一人では来たくないけれど。


幌内地区を見終わった後は、道の駅に行って、目的の住友奔別炭鉱立坑櫓(すみともぽんべつたんこうやぐら)の場所を確認した。
やっぱり、最初に通った道にあった。
昨日と合わせ、三往復したけど気づかない場所にあった。
看板すらない。いや、看板がないところを目指すくらいがちょうど良い。

民家を通りすぎ、この人たちも、昔、働いていたことがあるのかなぁと思いながら、目的の場所、住友奔別炭鉱立坑櫓に辿り着いた。
ここも、立入禁止の看板がぶらさっがっていた。

役目を果たし、今は使われることがなくなった錆びた鉄骨の巨大な建造物。
中心には”奔別”の文字。
俺は、その巨大な建造物を眺めた。


いかがだったでしょうか?自称、北海道親善大使がおくる炭鉱シリーズ。
何で、炭鉱に惹かれていったのかはわからない。
ちょっと考えたけれど、わからない。
わからないけれども、衝動のおもむくままに、訪れた町々。

炭鉱があったというのは、なんとなく聞いてはいたけれど、
今回、そこで生活していた北海道民の生活を知り、考え、息吹を感じ、
今まで知らなかった北海道を知ったのも確かだった。



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