どんまい

いろいろあるけれど、それでいい

紙一重

紙一重の出来事だった。


6月30日、23時59分。


俺は、コンビニにたどり着いた。
たばこが7月1日から値上がり。
1カートン(10個入り)だと、2,700円から3,000円となる。
その前に、まとめて買っておこうかなと急ぎ、紙一重で到着。

レジに向かう途中、
急いでいたためか、
雨が降っていて滑りやすかったのか、
俺の雪駄はすべる。
そこは、天性のバランス感覚で、転ばない。

レジに向かい、
「煙草は、まだ間に合いますかね?」と店員に聞く。
まあ、ギリギリセーフだなと余裕の質問。

店員は、腕時計に目をやり、答える。
「大丈夫です。あと30秒です」

やはり、紙一重で間に合った。

「5カートンください」

「銘柄は?」

「あっ、マイルドセブンです」

店員は、レジのすぐ後ろにある、
積み上げられた煙草を手にとり、
バーコードをあてる。

俺は固唾をのんで、レジの画面を凝視。


ピッ


「あっ」と店員が言ったのか、
俺が言ったのかは定かではないけれど、
そんな驚きの声が聞こえたような気がした。


画面には、3,000円という数字が、無情にも表示されている。


店員は申し訳なさそうに、
「すみません」とつぶやく。


いや、君のせいではないんだ。
「まだ、間に合いますかね?」とギリギリ間に合ったことに、ほっとした俺が、はっしたそのコメントがなければ間に合っていた。
残り30秒のオウンゴール