以前、富士山の頂上から見る御来光の話を聞いた。
御来光の意味すらわからなかった俺は、とりあえず、御来光の意味を聞いた。
日の出を観ることらしい。
雲の下から上がってくる太陽は、そりゃあ綺麗だそうだ。
その話を聞いてから、富士山を制覇するのも良いなと思っている。
ただ、富士山に登るのは、一人旅とは訳が違い、
「パティーを組まないと登れないだろ?」と容易に理解できる。
そんなわけで、実施できず、計画はそのままになっている。
登山をしたのは、大学に入学したての頃、
オリエンテーションの一環として、参加した時、以来。
周りに知り合いもいないような状態で、とりあえず登山。
その行事は、親睦を深めることが目的で実施された。
俺の集団は、昼の12時近くに出発。
飯は、まだかい?
飯は、まだかい?
と親睦を深めることよりも、
飯を食うことで頭がいっぱいの俺。
一旦、休憩ということで、
ちょうど飯の時間ということもあるし、
俺は我先に、飯を喰らう。
するとだ。
そこは、ただの休憩。
誰も飯を食わない。
取り返しのつかないフライング。
昼飯は、俺の腹の中に、すでにダイビング。
一旦の休憩は終わり、
本来、飯を食う場所で、
みんなが飯を食っている時に、
すでに俺の飯はない。
みんなが飯を食っているのを見学。
それを見かねてか、
そんな悲惨な俺に気づいたのか、
前のグループの知り合いの女の子が、
俺にカロリーメイトをくれた。
今も、カロリーメイトをくれた人の顔を忘れない。
ただ、カロリーメイトと、もう一つ、何かを恵んでくれたんだけど、その食べ物は、忘れてしまった。
登山には、そんな悲しい思い出がある。
登山を好きでもない、思い入れもまったくない俺だけれども、
自分のやりたいことと登山を重ねる。
1年半にも及ぶ、自伝プロジェクト。
ただいま、最終章、「大出血作戦」。
今、3社目の見積書を、まだか、まだかと待ち焦がれている。
登山でいうところの8合目。
まもなく頂上。
見積書の値段に、すべてかかっているが、
予算内であれば、9合目。
頂上を見上げることができる。
俺の目指している山は、そんなに低い高さじゃない。
一度や二度や三度や四度の失敗であきらめるところじゃない。
そう自分に言い聞かせて、早1年半。
早く、頂上からの景色を眺めてみたい。