どんまい

いろいろあるけれど、それでいい

何者かになりたいと思ったことがある人に読んでもらいたい1冊

私の自宅の本棚には野球コーナーがあるんだけど、ほとんど読んでいない。

 

やっぱり野球は観るのが楽しい。読むのは、新聞や雑誌くらいの文字量がちょうど良い。今年も、高校野球関連の雑誌を買って読んだ。おすすめの雑誌は、後日、気が向いたら書こうと思っている。

 

そんな私が、「スローカーブを、もう一球」を手に取ったのは、甲子園に向かう日。野球に関係する本を読みたい気分になった。

 

行きの飛行機で読んでいたら、機内に忘れていることに気づき、すこし凹んだ。帰りの空港で、スタッフの方に訊いてみたら、忘れていた本が見つかって、帰りの飛行機の中で、続きを読んだ。

 

スローカーブを、もう一球 (角川文庫)

スローカーブを、もう一球 (角川文庫)

 

 

タイトルが、「スローカーブを、もう一球」なので、野球の話かと思いきや、野球だけではなかった。

 

ジャンルは、スポーツ・ノンフィクション。

 

全部で8編が掲載されている。野球の話は4つで、残りの4つは、一人乗りボートでオリンピックを目指す人の話や、ボクサーの話、スカッシュの選手の話、棒高跳びの選手の話。

 

1980年代の本で、ところどころに歴史を感じるんだけど、その人の人生に焦点を当てられているので、時代に関係なく、引き込まれる。

 

スカッシュ全日本選手権初代チャンピオンである坂本聖二さんの物語に、こんな一節がある。

 

ちなみに坂本さんは、車のセールスマンをしながら、スカッシュを続けた。

 

恐らく、彼の心の中には、誰もがそうであるように仕事だけでは埋められない空洞があるのだ。彼の場合、その空洞はスカッシュのボールの形をしている。1ヶ月に車を10台売った。なかなかの成績だ。20台売った。驚異的な数字だ。しかし、だからといってどうしたというのだろう。空洞は埋まらない。例えば結婚して、子供を作ったとしよう。それでも埋まるものではない。あるいは、そんなことで埋められない何かがあるのだと自ら信じ込むほどに、彼はエゴイスティックである。(「スローカーブをもう一球」山際淳司

 

仕事では埋まらないのか・・・。私は、仕事で埋めようとしていたかもしれない。

 

坂本さんだけではなく、この本に登場する人物達は、何者かになろうとした。そんな私も、20代の頃は、そんな意識が強かった。

 

最近、大切にしているのは、日々の営みの中にある、ご飯がおいしいだとか、天気が良くて気持ちいいだとか、誰かと会って嬉しいだとか、そんなたわいもないことを積み重ねて行く方が、自己実現よりも大切なのかもしれないと思っている。それは、女子学生、渡辺京二に会いに行くを読んでから。

 

 

ただ、一方で、何歳になっても、夢を持つことは大切だとも思っている。叶うか叶わないかは関係ない。叶えようとしている過程で、すでにその人の生活は活き活きとするから。

 

ぼくは目標を失って、自分の身の置きどころを失ったように不安でした。哀しくて、むなしくて、どうにもならなかった・・・(「スローカーブをもう一球」山際淳司

 

スローカーブを、もう一球のこの一節を読みながら、先日、Number Webで読んだ清原和博さんのことが書かれている記事を思い出した。

 

関連記事:「夢なのか、現実なのか……」清原和博は甲子園決勝で何を見たか。 - 高校野球 - Number Web - ナンバー

 

清原さんが自分で望んで、100回目の夏の決勝を甲子園で観たという。

 

今もなお、苦しみの渦中にいる清原さんが、甲子園から力をもらったと言い、帰る時には晴れ晴れした表情になったというところが素敵だなあと思って、次号のNumberも購入しようと思っている。

100回目の残暑

甲子園が終わってしまった。

 

大阪桐蔭と金足農の決勝の後、私は虚脱感に襲われ、なかなかパソコンに向かうことができなかった。

 

コンビニで、甲子園決勝が一面のスポーツ新聞を買った後、美容室に行くと、美容師さんに、「甲子園に行って来ましたか?」と訊かれた。甲子園に行く話をしたっけなあ?と思いながら、簡単に甲子園へ行った話をした。

 

息子さんは、高校で野球をするみたいだ。甲子園はほとんど観ていないと言う。Netflix進撃の巨人を観て、夏休みをだらだら過ごしています、と言っていた。まだ夏休みが続いているなんて羨ましいなあと思いながら美容師さんの話を訊いた。

 

私も、自宅に帰って来てからNetflixで、「THE100」を観た。シーズン5が終わってしまった。どうもネットで調べると、シーズン6を制作するらしい。楽しみが続いて良かった。

 

今年は、厄年だから調子が出ないのか、知らず知らずのうちに厄年を意識して、自ら調子を崩しているのかわからないが、たびたび憂鬱な気持ちになる。

 

先日も、そんな日が続き、本棚を眺めながら、こういう時は、前野健太さんの「百年後」かもしれないなあ、と再読した。再読する本は珍しく、やっぱりこんな気持ちの時に読む本だった。早く新しい本が出てくれないかなあと思うが、前野さんの本業は、シンガーソングライターだから難しいのかもしれない。

 

百年後

百年後

 

 

北海道には残暑がないといっても良いほど、あっという間に秋になる。

 

 

とんぼのつがいを眺めながら、秋を感じた。

 

 

 

100回目の夏、クライマックス

4時台の始発だというのに、甲子園に向かう人々で、電車内は立っている人もいて、甲子園に着くと同時に、改札をダッシュで駆けて行く。

 

私は、前日、場所取りをしていたので、そんな人を横目に甲子園に気持ち早歩きで、その場所に向かった。すでに長蛇の列で、その長蛇の列を整理するために警備員もたくさんいた。

 

場所を取っているところに行って驚愕する。

 

私の場所は、人の多さから前に詰められていて、場所を取っている意味をなさない。初めて体験する前日からのチケットの購入。こんなふうになるんだ。

 

そうこうしていると、前日、場所取りをしている時に知り合った松田さんからメールが来た。

 

「おはようございます。今、無事に道路の後ろに並んでいます」

 

昨日、場所取りをしていたところよりも前に、松田さんはいた。昨日、場所取りをしている時に、松田さんから新聞をもらったり、私のガムテープを貸したり、野球談義に花を咲かせた40代後半くらいの男性だった。

 

そうこうしていると、電話が来て、「こっちにおいでよ」と言ってくれる。私は、松田さんのところに着くと、「昨日、徹夜したよ」と松田さんが言った。松田さんの隣には同じく、昨日の場所取りの時に近くにいた北海道から来たという50代後半くらいのおじさんが、にこにこしていた。

 

私は、昨日に続き、3人で野球談義をした。松田さんは10年くらい続けて甲子園に来ていて、北海道から来たというおじさんは、毎年、甲子園を楽しみに生活をしているという。どれだけ、野球を愛しているんだ。

 

「会場は6:10になります」とアナウンスが聴こえた。

 

おじさんたちと野球談義をしていると、私の前で「横入りするなよ」と怒声が聞こえた。

 

私と同じように、前日、場所取りをして、6時くらいにホテルから戻って来たおじさんなのだろう。そのおじさんはすごい困惑した顔で、チケット売り場のまわりをうろうろしていた。

 

私と同じく場所取りが初めてだったのだろうか。私と同じく遠くから来たのだろうか。そんなことを考えていたら、私の場所に入れてやろうかとか、チケットを買って渡してやろうとか、頭をよぎったけど、行動に起こせなくて、情けない気持ちのまま球場に入って行った。

 

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準決勝第一試合の金足農×日大三の試合までの4時間ある。持参した月と六ペンスを読んだり、甲子園カレーを食べて待った。

 

松田さんは、日傘があるスタンドの上の方に、北海道から来たというおじさんは、仲間たちと、中段あたり座り、貧乏性の私は、中央特別席近くの一塁側のベンチ10列目あたり。できるかぎり前で観たいと思ったけど、あとで、アルプス席近くの上の方も良かったかなと思った。

 

スタンドは、ほぼ満員だけど、少しだけ空席も見られたから、怒声を浴びせられたおじさんも入ることができたかな、と思い出しながら準決勝を観た。

 

いうまでもなく、第一試合、第二試合ともすばらしい試合で、やっぱり甲子園は素晴らしい場所だな、と思った。

 

松田さんたちは、決勝を観戦するために、また場所取りをするという。

 

北海道に帰って来た私のところに、松田さんから、こちらこそ、お世話になりました。今日は今日で、並んでるメンバーと飲みに行く、とメールが来た。

 

 

 

今年の夏も終わる。

 

 

第100回高校野球選手権大会準決勝の当日券を求めて

日本上空、8月19日午前10:00。

 

できるかぎりの速さで、メールアドレスとパスワードをパソコンのキーボードで打ち込む。何度となく表示される「エラーが発生しました」の文字。30分は繰り返しただろうか。第100回高校野球選手権大会準決勝・決勝の前売りチケットを販売しているサイトの画面には、「予定枚数終了」の文字。グッバイ。

 

甲子園は、いつからこんなに人気になったのだろうか。私が甲子園で野球観戦していた頃は、並んだ記憶すらない。

 

ツイッターで確認すると、いかに甲子園を観戦するのが難しいかがわかった。この売り方をどうにかしてくれと訴える者さえいた。インターネットオークションに販売されているのに腹が立った。

 

甲子園球場、8月19日午後14:16。

 

すでに当日券を求める人たちの列ができていた。私は、レジャーシートをガムテープで貼り、マジックで名前を書いて、甲子園歴史館に向かった。

 

おとな600円。館内には、野球好きがあふれていて、展示物にカメラを向ける姿は、野球少年&少女。ここは、絶対行った方が良い。展示物はもちろん、バックスクリーンから甲子園球場を観ることができるし、ドラフト体感コーナーがあって、かなり楽しめる。

 

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8月20日午前3時14分。まもなく、始発で阪神甲子園球場へ。

 

試合開始は、午前10時。

 

テレビの中にいれますように。

 

 

新千歳空港にて

早朝4時起床。5時に自宅を出て、新千歳空港に到着。現在、新千歳空港のラウンジで、スポーツ新聞を読んだ後に、このブログを書いている。

 

これから伊丹空港に向かう。甲子園の熱戦をこの目に焼きつけるために。

 

天気は心配なさそうだ。あとはチケットを取れるかどうか。チケットの予約は空の上でインターネットを介して行われる。「着陸体勢に入るため、これより電子機器はご利用になれません」と言われたらどうしようかと、今からソワソワしている。こんなにチケットに神経を擦り減らすのはWBC以来だ。

 

昨日は、大阪桐蔭×浦和学院の一戦を途中までテレビ観戦した後、仕事にいかなければならず、残りの試合は熱闘甲子園で観た。

 

まずは大阪桐蔭。強い、強いと言われながら、敗れていった高校は数知れず。その強さに惚れ惚れする。

 

そして、もう一校。金足農。昨日のツーランスクイズは、まるで漫画のようだった。秋田の友達、中津も、さぞかし盛り上がっていることだろう。

【高校野球】ベスト8も目が離せない。

小寺くんを京都大会から観ていたが、本当、良い投手だった。私の中の優勝候補の一つだったが、龍谷大平安も甲子園を去った。これだから甲子園はわからない。

 

残すところは8校。予選から数えると、8〜9連勝しているチームばかり。これだけ連勝しているとどんな感覚なんだろう。そんなに連勝をしたことがないからわからない。

 

明日も、どの試合も注目。まずは何と言っても、第一試合の大阪桐蔭×浦和学院浦和学院は、甲子園に来て、まだ1点も得点を許していない。

 

そして、第四試合の金足農×近江。何と言っても、金足農の吉田くん。大会No.1投手の名にふさわしいこれまでの試合。連投になるのが心配ではあるが、頑張ってほしい。

 

100回目の夏も、まもなくクライマックス。

 

この時期の北海道の夜空は星が綺麗だ。

 

北海道は一足先に秋が来た。

【高校野球】高校球児がピンチの時に笑顔でいるわけ。

子どもの頃、甲子園をテレビで観ながら、ピンチなのに、どうしてピッチャーは笑顔なんだろう、と思っていた。笑える場面ではないでしょって。

 

やっとその意味がわかった。笑顔を作ることによって、身体の力みが取れる。力みが取れることによって、いつもの力を発揮することができる。

 

一方で、表情から負けん気の強さが伝わってくる選手もいる。

 

今大会で言えば、済美の山口くん、大阪桐蔭の藤原くん、根尾くん。

 

どちらかというと、私はそんな選手の方が好きかもしれない。

 

大阪桐蔭と対戦した沖学園の監督が、大阪桐蔭の強さにほれぼれすると言っていたけど、私も、大阪桐蔭の強さにほれぼれしていることに気づく。その強さ、ここ数年では一番の高校ではないだろうか。大阪桐蔭史上最強と言われるのも頷ける。怪物級の選手がいるわけではないけど、チームとして強い。

 

大阪桐蔭を破る高校が出てくるのだろうかと思う一方、私が観戦に行く準決勝までは残って欲しいと思う。