どんまい

いろいろあるけれど、それでいい

100回目の夏、クライマックス

4時台の始発だというのに、甲子園に向かう人々で、電車内は立っている人もいて、甲子園に着くと同時に、改札をダッシュで駆けて行く。

 

私は、前日、場所取りをしていたので、そんな人を横目に甲子園に気持ち早歩きで、その場所に向かった。すでに長蛇の列で、その長蛇の列を整理するために警備員もたくさんいた。

 

場所を取っているところに行って驚愕する。

 

私の場所は、人の多さから前に詰められていて、場所を取っている意味をなさない。初めて体験する前日からのチケットの購入。こんなふうになるんだ。

 

そうこうしていると、前日、場所取りをしている時に知り合った松田さんからメールが来た。

 

「おはようございます。今、無事に道路の後ろに並んでいます」

 

昨日、場所取りをしていたところよりも前に、松田さんはいた。昨日、場所取りをしている時に、松田さんから新聞をもらったり、私のガムテープを貸したり、野球談義に花を咲かせた40代後半くらいの男性だった。

 

そうこうしていると、電話が来て、「こっちにおいでよ」と言ってくれる。私は、松田さんのところに着くと、「昨日、徹夜したよ」と松田さんが言った。松田さんの隣には同じく、昨日の場所取りの時に近くにいた北海道から来たという50代後半くらいのおじさんが、にこにこしていた。

 

私は、昨日に続き、3人で野球談義をした。松田さんは10年くらい続けて甲子園に来ていて、北海道から来たというおじさんは、毎年、甲子園を楽しみに生活をしているという。どれだけ、野球を愛しているんだ。

 

「会場は6:10になります」とアナウンスが聴こえた。

 

おじさんたちと野球談義をしていると、私の前で「横入りするなよ」と怒声が聞こえた。

 

私と同じように、前日、場所取りをして、6時くらいにホテルから戻って来たおじさんなのだろう。そのおじさんはすごい困惑した顔で、チケット売り場のまわりをうろうろしていた。

 

私と同じく場所取りが初めてだったのだろうか。私と同じく遠くから来たのだろうか。そんなことを考えていたら、私の場所に入れてやろうかとか、チケットを買って渡してやろうとか、頭をよぎったけど、行動に起こせなくて、情けない気持ちのまま球場に入って行った。

 

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準決勝第一試合の金足農×日大三の試合までの4時間ある。持参した月と六ペンスを読んだり、甲子園カレーを食べて待った。

 

松田さんは、日傘があるスタンドの上の方に、北海道から来たというおじさんは、仲間たちと、中段あたり座り、貧乏性の私は、中央特別席近くの一塁側のベンチ10列目あたり。できるかぎり前で観たいと思ったけど、あとで、アルプス席近くの上の方も良かったかなと思った。

 

スタンドは、ほぼ満員だけど、少しだけ空席も見られたから、怒声を浴びせられたおじさんも入ることができたかな、と思い出しながら準決勝を観た。

 

いうまでもなく、第一試合、第二試合ともすばらしい試合で、やっぱり甲子園は素晴らしい場所だな、と思った。

 

松田さんたちは、決勝を観戦するために、また場所取りをするという。

 

北海道に帰って来た私のところに、松田さんから、こちらこそ、お世話になりました。今日は今日で、並んでるメンバーと飲みに行く、とメールが来た。

 

 

 

今年の夏も終わる。