美容室で髪の毛を切ってもらいながら、店名の話になり、店名を決めるのは、難しいですよね、と私は言った。この店の名前はどうやって決めたのですか、と私は続けた。立花の花からつけました、と美容師さんが教えてくれた。
髪の毛を切ってもらった後に、車の定期点検にディーラーに持って行き、辻山良雄『ことばの生まれる景色』の続きを読んだ。
そこ橙書店の店名の由来を訊く記述があり、たまたまオレンジ色に塗られた扉が目に入ったので・・・。特に意味はないです、というようなことを店主の田尻久子さんが言っていて、私は、その話で、橙書店に行ってみたくなった。 店名が、特に意味がないって、何?
定期点検が終わり、夏タイヤを交換した方が良いとアドバイスを受けた。冬タイヤも交換した方が良いと以前に言われたので、タイヤを8本買わなければならず、どうせ買うなら、消費税増税前だな、と思った。
芸術の本質は、見えるものをそのまま再現するのではなく、見えるようにすることにある。辻山良雄『ことばの生まれる景色』
この文章を読んだ時、なるほどな、と思った。だから抽象画があるのか、と思った。小説は、どうなのだろうか、あてはまるのだろうか。
永井宏『夏の仕事』
永井宏『雲ができるまで』
辻山良雄『ことばの生まれる景色』を読んで、永井宏を初めて知った。
小説ともエッセイともつかないスケッチのような作品であった。自分の周りにもいそうな登場人物と、特別なことは何一つ起こらないストーリー・・・。 辻山良雄『ことばの生まれる景色』
永井宏の文章では、日々の生活のなかでうれしいと感じる瞬間が、きわめて素朴に綴られる。例えば・・・。そのような日常が永井の筆にかかると、大切でかけがえのない瞬間のように感じられるから不思議である。「表現は特別な何かにのみ、ひそむものではない」。辻山良雄『ことばの生まれる景色』
「とにかく気持ちに正直になって、何か作ってみろ」と、いつもけしかけていたという。その態度は、多少美術の心得がある人だけに限らず、何も作ったことのない人に対しても常に同じであった。「そのときあなたは、どう感じたのか。」。そうした個人の実感を永井は何より大切にしたのだろう。辻山良雄『ことばの生まれる景色』
大切なのは、誰かのことばをありがたがることではなく、ぎこちなくても自分のことばで話し、そのそばにいることなのだ。辻山良雄『ことばの生まれる景色』
すぐにでも読んでみたくなった。
高橋源一郎『さよなら、ギャングたち』
高橋源一郎は読んでみたい作家で、この前、『ジョン・レノン対火星人』を買って、本棚に並んでいる。辻山良雄『ことばの生まれる景色』には、高橋源一郎の書く文章は、平易であるからこそ子どもも大人も区別なく、そこから同じ深みを受けることができると、書いてあって、『さよなら、ギャングたち』の紹介では、この作品から受ける感動は、ストーリーを追いかけることにはなく、ストーリーのなかに巧みに仕組まれた、ことばの不意打ちの出合いにある。どんな感じなんだろう。読んでみたい。
いまとなっては想像がつかないが、デビューする前の高橋源一郎は、小説家になろうとする意志を持ちながらも書くことができず、十年間肉体労働に従事していた。その間、書くことや読むことが思うままにならないという失語症に陥り、単純な文章を書き続けるリハビリテーションの日々を送ったという。辻山良雄『ことばの生まれる景色』
辻山良雄『ことばの生まれる景色』では、所々で、作者の人となりが書いてあるので、そこも興味深い。
夏目漱石『門』
瀬石は、人生の暗がりにいるときに、読むのがいい。調子がよいときには見えてこない人の世の情景があり、後ろむきになりながらも前に進む遠回りの諧謔がある。辻山良雄『ことばの生まれる景色』
『三四郎』『それから』に見られた若さ、明るさとは決別し、うす暗い淋しさに分け入っていく『門』辻山良雄『ことばの生まれる景色』
夏目漱石の『こころ』が好きで、一時期、夏目漱石の著書を集めた。その時、『門』も買ったかなあ、と思って、本棚を探してみたらあった。人生の暗がりにいる時に、思い出したら読んでみたい。
ミヒャエル・エンデ『モモ』
- 作者: ミヒャエル・エンデ,大島かおり
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2005/06/16
- メディア: 新書
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好きな本屋さんが何店舗かあって、Twitterだったり、Instagramで、オススメの本の紹介をしてくれるので、私は、喜んで見ている。2店舗くらいで、同時に、同じ本を紹介することもあるので、そんな時は、たいてい、購入する。この『モモ』もそう。いつか読んでみたい。
辻山良雄『ことばの生まれる景色』を読みながら、読みたい本が増えたばかりではなく、新しい小説の構想だったりが頭の中に浮かんだ。頭の中に浮かんで、忘れないように携帯のメモ機能に綴った。