どんまい

いろいろあるけれど、それでいい

河童のかわぐちくん(7)

僕は二週間ぶりに、友達と会って夕飯を食べた。
この前、会った帰りに、『河童のかわぐちくん』のことを思い出したことを話し、
友達に河童のかわぐちくんの話をした。
河童のかわぐちくんの話をするのは、この友達が初めてだった。

「それで河童との出逢いが、どうしてかわぐちくんの生き方に影響を与えたの?」と友達は僕に訊いた。

僕は、河童のかわぐちくんの話の続きをした。

「結局、その夏休み、かわぐちくんは、毎日、川に行って、河童と水泳をして、相撲をとるんだけどね。
河童と相撲をした数ってのがすごいんだわ。
かわぐちくんは、ノートに『正』って字を書いて数えていたらしくて、
そのノートも未だに持っているんだって。
何戦したと思う?

503戦。

ちなみに、かわぐちくんのラッキーナンバーは、この時の河童と相撲をとった数の503がラッキーナンバーなんだって。
3桁のラッキーナンバーを持っているのは俺くらいだって言ってた。

しかもね、503戦503勝0敗。
河童はかわぐちくんに1勝もすることができなかったの。

1勝くらいさせてやれば良かったのにって言ったら、
かわぐちくんは、100戦を超えたあたりから、
わざと負けても河童は喜ばないんじゃないかって思ったんだって。

かわぐちくんは、どうして、負けても、負けても、河童は相撲を挑んでくるんだろうって不思議に思ったらしい。
俺なら自分より体が大きい奴とは喧嘩をしても負けるからさけるのにって。
負けても、負けても、挑むのが、逆に、かっこよくうつったって言ってた。

あと、水泳が泳げるようになったのも大きかったって言ってた。
やればできるんだって思えたって。

夏休みあけの水泳授業で、25メートルを泳げるようになったんだって。
みんなクロールで泳いでるのに、俺だけ平泳ぎでだったけど、
河童に教えてもらったのが平泳ぎだけだったから、しゃーないよねって笑ってた。

クラスのみんなは、平泳ぎが羨ましかったのか、
教えてくれって言う奴が大勢いて、
一気に人気者になったんだって。

川を見ると、時々、その時のことを思い出して、
まだ、終わりじゃないって、あきらめなくなったらしい。



これが河童のかわぐちくんの話」



※この物語はフィクションです。次回、最終回。




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