慌しい生活が落ち着いてきた頃に、
たぶん、体調を崩すかもしれねぇなって、
予想通り、俺は風邪をひいた。
まあ、そんなに悪くはなっていないから大丈夫。
今は、ちょっとばかり耳が痛いくらいなもんだ。
落ち着いてきたといっても、
ダンボールばかりの生活は変わらず、
とりあえず、布団を敷き、寝ている。
冷蔵庫もなければ、洗濯機もない。
引っ越す費用がかかるため、新潟の地に捨ててきた。
冷蔵庫も、洗濯機も、とりあえず後だ。
まずは、カーテン。
カーテンがなければ、俺の私生活は丸出し。
今回の引越し。
俺は、二人の仲間がいなければ間に合っていなかった。
個展の前日まで、引越しの準備は3分の2を残していた。
まずは個展。個展の準備が終わったら引越し。そんな段取りだった。
個展、一日目の午前が引越し。
個展前日。
会場準備をし、送別会をしてもらい、残りの3分の2を片付けようと家路に着く。
が、高速道路上、あまりにも瞼が落ちてくる。意識は遠のく。
「ここは寝るしかない。サービスエリアで2時間ばかり寝るしかない」ってことで、仮眠をとることにした。
サービスエリアで寝れば、眠りも浅い。
今まで、旅をしてきた時から、実証済み。
確実に早朝に起きる。
数秒で俺は深い眠りに落ちる。
目覚め、携帯電話を見る。
「9:30」
終わった。
まもなく引越し業者がくる時間。
引越しの残りは3分の2。
携帯電話には、何度もの着信通知。
その着信の一つに電話をかける。
「予想通りだ」
その声の主は友達。
引越しをする当人より、早起きをしていた。
その友達とアパートで合流。
友達が、もう一人に電話をかける。
「これるか?」
「はい。スタンバイしてました」
友達がかけたのは後輩。
頼んでいなかったのにもかかわらず、スタンバイしていた後輩。
最後の最後まで、散々迷惑をかけた俺。
この場を借りて、ありがとう。