どんまい

いろいろあるけれど、それでいい

180000のラブレター(4)

パチンコ会館玉将に行っていたのは、
あの人に出逢うためだったのかもな。

ポジティブ。
根拠もないポジティブ。

食事に誘う手紙をポケットにしまい、
パチンコ会館玉将に向かうために着替えを済ませた。

給料が入って、すぐの金曜日。
しかも『0』の付く日。
『0』のつく日は玉将デー。
お日柄も良し。
仕事もめずらしく17時きっかりに終わった。
まさしくパチンコに行けと言われているみたいだ。

颯爽と、お決まりの『昆虫に夢虫』に向かった。
パチンコを打ちながら、
先日、会った好みの子が勤務していないかと、周りを眺めながら打つ。

金は次から次へと台に吸い込まれ、
あれよ、あれよと2万円。
我慢だ、我慢の時だ。
まだ、誰もそんなに積んじゃあいない。

隣に座る雪駄を履いている男性が、
ここで当たりをひく。

隣の台が当たり出すと、
自分の打っている台は出ないんじゃないのかという錯覚に陥る。
それまで2万円を突っ込んだ台を移動した。

が、この選択が失敗。

次に座ったおばちゃんが、カメムシゾーンに突入。
カメムシゾーンは当たりが確定するゾーン。
そして、まもなく当たる。

雪駄を履いた男性が、
玉で一杯になった箱を後ろに置いて貰うために店員を呼んだ。


店員を見て胸が高鳴る。


先日会った好みの女性だった。
ポケットにしまってある手紙を意識した。

今日は、ジュースの販売員としてではなく、
店の店員として働いていた。
玉が一杯になった箱を後ろ側に置く。

大抵の店は、ジュースの販売員は販売員しかやらないが、ここはどうも違うらしい。
パンチパーマの店長も、時に、景品交換に回ることもある。
いろんな役割を掛け持ちしているようだった。
まあ、そんなに客もいないから、大変なんだろう。

いや、俺の財布も大変だ。
マイナス3万円になった時点で財布には残り1000円しかない。
近くにあるコンビニのATMに金をおろしにダッシュする。


コンビニから戻ってきたら、
雪駄を履いた男性、その隣のおばちゃんもたくさんの箱を積んでいた。

4万円を過ぎた当たりから、
今日は、当たる気がしなくなってくる。
が、すでに暴走モード突入。
意地。一度で良いから当てたい。

そして終わってみれば、マイナス6万円。
閉店まで残り1時間。

俺は、席を立ち、好みの女性を探した。
女性は、せわしなく働いていた。

まずは、トイレに行こうと、
トイレで用を済ませ、
再び、女性を探すが、
やはり、女性はせわしなく働いていた。

今日は、玉将デーだもんな。
今日のところは、今日のところは、
手紙を渡さないで帰ることにしようと、
いじけながら家路に着いた。


つづく。



※この物語はフィクションです。


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