お金を稼げるかをまず考えると、心の声がねじ曲がって、私に届く。
お金を稼げるかをまず考えると、心の声がねじ曲がって、私に届く。
街の小さな居酒屋は、珍しくほぼ満席で、小上がりの席が空いていたけれど、カウンターに座るよう促された。2人の時は、カウンターに座るのも居心地が良い。知らない人と隣り合わせなのは、窮屈だけど、私達が座ると間も無く、隣の人達は席を立ち、店を後にした。
時々、無性に刺身が食べたくなり、この店を選ぶ。少しだけ値は張るが刺身が美味しい。混んでいるにもかかわらず、料理は、ほどよく次から次へと運ばれてきた。
「だめかもしれないですけど、今、こうなりたいみたいなのないんですよね。昔は、命をかけてできる仕事は何かと考えてきたのに」同僚がそんな話をした。
「もしかしたら、それで良いのかもしれないです。この食べている料理がおいしいって感じられる心の方が大切なのかもしれないな、と最近、思います」私は、そう答えた。
最近、同じような話を立て続けに訊いた。共通するのは、日々の営みの中の小さなしあわせが大切だということ。
たぶん、私は20代ではそう考えられなくて、40代目前だから、そんな心境になっているのかもしれないなと思う。そういえば、20代で、同じような話をしていた人に出会ったっけと思い出した。
なんか肩の力が抜けてるというか、自然体というか、そんな考え方が、最近、気に入っている。日々の生活を大切にしつつ、夢の実現のために、たまあに頑張る。
そんな話から、一万円選書の話になり、同僚が、昔、好きだった本の話を訊いて、また、読みたくなった本が増えたな、と嬉しくなった。
20代の頃、悶々と悩んだり、迷って遠回りしたり、そんな中で読んだ本だったり、何か行動に起こしたことなんかが、今の魅力にも繋がっているのかもしれないな、と、コーラを飲みながら考えた。
久しぶりに歴史小説を読んでいる。ただ、物語の中に溶け込めず挫折しそうだ。読むのをやめようかとも思ったが、一万円選書の一冊だし、もしかしたら、何かがあるかもしれないと読み進めている。
その本の一番後ろに、ある小説賞の募集要項が書かれていた。今年のやりたいことの一つ。本を書くということ。何か、ここでこのページを見たのも何かの縁。試しに出してみようかと思った。締め切りが9月30日。
道路脇に車を停めて、雪の上を歩くと、きしり、きしりと、音がした。
こういう音がする日は気温が低い。写真を撮る手もかじかみ、写真を撮ってすぐに車に戻った。外気温をみると−11℃。そうでもない。
ハンドルを握りながら、冬も良いかもしれないなと思った。ずっと冬が嫌いだったのに。寒くなればなるほど、冬の良さを感じる気がした。
寒くなると、木々は凍り、一面の雪景色はキラキラとひかって綺麗だし、月が綺麗な夜や、深々と雪が降る夜は、全く何の音も聞こえない。この静寂が心地良い。
そういえば冬のにおいがわかる人がいるけれど、冬のにおいってどんなにおいがするんだろう。
今日から私の住む町の天気は荒れ模様。雪が強い風で舞い、降り積もる。
そんな中、午前中は歯医者。半年ほど、ほったらかした、かぶせ物が取れた歯を治療。一旦、家に戻り、昼食を摂って、読書をしながらの昼寝。午後から夜にかけて眼鏡を直したり、ブックオフに行ったり。家に帰ってきてから雪はね。朝に続いて2回目。冬は、これからが本番。
今日、一万円選書で届いた本の一冊を読み終わった。
旅行ツアーに参加した日本人が、旅先で反政府ゲリラの襲撃を受けて人質として捕らえられる。人質としての日々が長引き、いつしか、それぞれ自分の大切にしている過去を一つ書いて朗読し合うようになる。そんな物語。
いつもは解説部分は読まないけれど、今回は珍しく読んだ。
”小川さんはかつて小説のあとがきにこう書いたそうだ。「どんなことがあってもこれだけは、物語として残しておきたいと願うような何かを誰でもひとつくらいは持っている」。また、「面白みのない生活の中にも、書かれるべきことが隠れています」「それらを見つけ、言葉ですくいあげてゆくときのわくわくする気持ちが、私はやはり好きです」と述べたこともあるという。”
今年、私もこれに似たようなことを試みようと思っている。何気ない日常の喜怒哀楽を見つけ、言葉にしていきたいと思っている。
本を閉じ、一万円選書に添えられていたいわた書店の店主の手紙をもう一度、読み直してみた。
そして、自分がこの人質の一人だったとしたら、私はどの過去を語るのだろうかと考えた。
最近、苛々することが多い。苛々ばかりしていて沸点が浅いためか、今日も2つほど苛々した。
その1つは、車の修理に関すること。
会社の車のオーディオが壊れたので、車屋さんに持って行き、見積もりを出してもらおうと思って待っていたら、見積もりをすっとばして修理完了しましたという報告。合計3600円。ヒューズ100円に検査費用3500円。
いや、いや、見積もりを出して欲しかったんですと説明すると、そうだったんですね。それでは元の状態に戻します。今回はヒューズ100円のお見積もりでお出します。検査費用はいりませんと言われた。
説明をしてくれた人と違う人が見積書を持ってきた。
で、会社に戻って見積もり書を確認したら、3600円の見積書。その場で確認しなかった私も悪いが、どうも確信犯的な感じがしてならない。そもそもその見積もりを持ってきた人とは、ソリが合わないし、これまでも、なんだ、この殿様商売は、と思うこともしばしばあり、もうあんなところとは取引しない、と思うに至った。
自家用車も、その車屋にお世話になっていたが、これからは1時間かけた隣町まで、持っていくことにした。
1月も9日が過ぎた。正月呆けすら感じる間も無く、働き続け、あっという間に1月9日。成人の日。
年明け早々、待ちに待った一万円選書の本たちが家に届いた。真新しい文庫と単行本の数々。本に包まれた包装紙を捨てようと思ったら、紙袋の中に手紙が添えられていることに気づいた。
手紙を読みながら、ただ、私の好みを当てるように、本が選ばれているわけではないんだな、と知った。
・・・他者への想像力という感受性です。そんな事に目を開かせてくれるような本を選びました。・・・その他の本も、今の年齢で読まれたら、きっとイイだろうなと思って選ばせていただきました。不得手なジャンル、すぐに役に立たないかもしれませんが、僕の精一杯のアドヴァイスです。・・・・
久々の人生の先輩からのアドバイス。本を一冊も一行も読んでいないけれど、一万円選書をお願いして良かったと思った。