松永K三蔵『カメオ』を読んでみたくなったのは、松永K三蔵『バリ山行』がおもしろかったからで、『バリ山行』と共通しているのは、この人に光を当てる?というような人に光を当てるところで、『カメオ』で言えば、工事現場の隣に住んでいるクレーマーの高齢者、亀夫に光を当てたところだった。で、その亀夫が飼っていたのが、亀夫と同じく、厄介で、奇妙な犬。『バリ山行』と同じく、光を当たられた人や犬は、どこか逞しさがある。
『バリ山行』の妻鹿さんも、『カメオ』の亀夫も、他人からクセがある人と評される人なのだろうか。時々、クセがあるというような言葉を耳にするが、クセがあるというのは、どのような人のことを言うのだろうか。ニュアンスはわかるのだが、変わっている人と同義なのだろうか。言葉が違うから、違うか。
ちなみに、私は、人から変わってると言われるような人が、好きなところがあり、どこが好きかと問われると、そういう人は、自分の価値観を持っているというか、我が道をいっていて、たくましさを感じるからで、私は、そんな人になりたいと思っていた。私自身も子どもの頃、変わっているだったり、独特と言われると褒められていると思っていたのだが、よくよく考えれば、それは褒められていない。
人は変わるのだろうか、と考えていたのだが、変わる部分もあるし、変わらない部分もあるし、変わらない部分も変わる場合もあるだろうし、ということで、変わる、という結論に達した。変わったと思うのは、変わってほしくないところが変わったから変わったと思うのだろうとも思う。
