Instagramに小松美羽さんのライブペインティングの映像と、札幌芸術の森での展示の告知を目にしてから、小松美羽『祈り 宿る』を観に行きたいと思って、妻と観に行ってきた。
帰りの道すがら、妻は、写真を、携帯電話で、バシ、バシ撮っていた女の子について、話をした。その女の子は記録するかのように、絵とキャプションを写真に撮っており、携帯電話のシャッター音が気にはなった。妻は、ちゃんと作品を観れば良いのに、と言った。妻の話を聞きながら、私が初めて東京ドームにある野球殿堂博物館の話をした。
高校の修学旅行で、私は初めて野球殿堂博物館を訪れ、興奮しながら、インスタントカメラで、肖像レリーフを一枚、一枚、写真に収めた。妻は、それとは違うよ、と言った。
自宅に帰ってきてからも、小松美羽さんの話を妻としていて、小松美羽さんが、幼少期に、不可思議な体験をした話になり、妻は、山犬と会ったという話、書いてあったよね、と言っていて、書いてあった?と私は聞き返し、私もキャプションを割と細かく読んでいるのだが、見逃していたため、ネットで検索した。
岩崎電気株式会社のウェブサイトに、小さな頃から、近くの神社や土手に行き、さまざまな自然の中に身を置くと、私の周りに妖精のような、あるいは妖怪のような「生きもの」が現れて、それを絵に描くのがとても楽しく、最初は他の人には見えない存在であるとも思わずにいました、と書かれていて、私も、これまで、そんな不可思議な体験を訊くのが好きで、何人かにそんな話を訊いたことがあるのだが、桁が違うというか、そんなにしょっちゅう出会っていたのか、と思った。
また、ある時から、私が道に迷うと茶褐色の山犬が現れ、いつも道案内をしてくれるようになり、それがしばらく続いたのですが、雪の日に現れたその犬の足跡がないことに気づいてふと目をあげると、くるくると円を描いて消えてしまいました、と妻が話していた内容も書かれていて、そんな「生きもの」を作品に描いていたことを知り、それは大人になった今も、感じることがある、と書かれていて、羨ましさすら感じたのであった。