季刊誌『真夜中』に掲載されている甲本ヒロトのコラムのことを、Xで呟いている人がいて、甲本ヒロトがコラムを書くって珍しいなあ、と目に留まった。人に刺さるパンクロックを作れる人は文章書いてもすっと人の心に入ってくるんだよなあ、とXに投稿している人は続けた。甲本ヒロトが書くコラムを読んでみたいと思って、Amazonで探した。Xには、真夜中のどの号かは書かれていなかったので、それっぽいのを開いた。No.11の特集が、音楽と言葉とエトセトラだったので、これだな、と思ったのだが、甲本ヒロトのコラムが掲載されているものではなかった。ただ、前野健太の名前や戌井昭人の名前があったので買うことにした。甲本ヒロトのコラムが掲載されているのはNo.3だった。甲本ヒロトのコラムは、詩のようで、歌のようだった。
おれはカウンターに座った客の会話を書きとめることにした。それを全部つなぎあわぜると、曲のアイディアみたいなものが浮かびあがってきた(トム・ウェイツ)『真夜中 No.11』p52
前野健太さんが、ボブ・ディランのことを書いていた。ボブ・ディランが自伝の中で歌を書くことについて、こんなことを言っていた。
創作には経験や観察や想像が深くかかわっていて、この三つの要素がひとつでも欠けるとうまくいかない。 『真夜中 No.11』p52
創作を、小説に置き換えて、小説には、経験や観察や想像が深くかかわっている。経験、観察、想像。私は、何度か、繰り返し、読んだ。ページをめくると、おっ、岡田利規さんだ、と思って、岡田利規さんの書くジョン・コルトレーンを読み、戌井昭人さんの書くマイルス・デイビスを読んだ。ペラペラとページをめくると、石川直樹さんの記事もあって、『真夜中』には、私が好きな人たちが寄稿しいて、以前、集めていたLittle More<真夜中>bookのシリーズを読んでみようかな、と思った。

