どんまい

いろいろあるけれど、それでいい

普通

 引越業者からアンケートを書いてくださいと一枚の紙を渡された。ちなみに後日、提出して欲しいというアンケートには書かない。なぜなら、めんどくさいから。そのアンケートに、自宅にあるもので、大切なものは何ですか、という項目があり、そんなに大切なものってないなあ、と思いながら、思い浮かんだのが、本だったので、本と記入した。荷物のほとんどが本で、本を処分したら、引越の見積りは、どれほど下がるのだろうか。荷造りをしていると、この本は、もう何年も読んでいないから売っても良いなあ、と頭を掠めるけれど、どうせ、1円とか5円でしか買い取ってももらえないなら、手元に置いておいた方が良いのではないかという気がして、こうして、引越しをするたびに運んできた。

 小説は紙で読むほうが好きだけど、ビジネス書やマンガは電子書籍でも良いなと思うようになり、今は、紙と電子書籍を併用している。(マンガの中でも、手元に紙で置いて置きたいマンガについては紙の本で置いてある)。

 快適に電子書籍を読みたいということもあり、iPadを購入したのが、今年の夏のこと。iPadで最初に購入したのが、マンガで、最新刊1冊を買ったつもりが、まとめ買いボタンを押していて、大人買いをしてしまい、キャンセルをするには、どうすれば良いのだろうと混乱しながら調べたが、途中で、どうせ手元に置いておきたいとも思っていたから、いいや、となった。ここのところは、iPadで、この日記も書いており、もはや、私のライフスタイルだと、デスクトップも必要ないかもしれない、と思い始めている。

 今は、電子書籍で、水野学『センスは知識から』を読んでいる。水野学さんって、どんな人なのだろう、とWikipediaで調べたところによると、くまモンのキャラクターデザインをした人であった。

 私も仕事上で、センスという言葉を時々、使用し、その場合のセンスというものは、先天的なもののような気がしていたけれど、センスの定義と訊かれれば、言葉に窮してしまいそうだ。

 普通こそ、「センスのいい/悪い」を測ることができる唯一の方法です。水野学『センスは知識から』p15

 普通を知る唯一の方法は、知識を得ることです。水野学『センスは知識から』p59

 読みながら、思い出したのが、プロダクトデザイナーの藤澤直人さんのことで、どうも、普通には、何かがあるようだ。

  みんなが「へえー」と思うものは、ある程度知っているものの延長線上にありながら、画期的に異なっているもの。「ありそうでなかったもの」です。水野学『センスは知識から』p65−66

  売れるものには必ず、「シズル」が存在します。・・・僕は更に広く捉えて、「そのものらしさ」をシズルと表現しています。水野学『センスは知識から』p78

 ありそうでなかったものを作り出す時、しばしば「差別化」という言葉が使われます。これは本来、「ほんの少しの差」を指すのではないかと僕は解釈しています。水野学『センスは知識から』p95

 どれだけ幅広い知識を得られるか?それらをどう融合させるか?最終的にどれだけの精度でつくりあげられるか?この一連のプロセスこそ、デザインやブランディングに欠かせないものだと思います。デザインは細部に宿る。ブランドは細部に宿る。水野学『センスは知識から』p96−97