アパートの玄関を出ると、秋の匂いを感じた。私にとっての秋の匂いは、この匂いだ。ただ、この匂いは、何の匂いかはわからない。
コンビニでNumberの表紙が目に入った。落合監督と野村監督が表紙だった。1058・1059号。Numberにも合併号があるんだ、ジャンプみたいだな、と思った。
野村監督の記事は、これまでも、よく目にしたし、読んできたけれど、落合監督の記事って、あまり読んだ記憶がないな、と思いながらページをめくった。ミーティングは年に数度、選手へのアドバイスは聞くと教えてくれる程度。奇を衒った采配はせず、特別な作戦もない。なぜ、あの時代の中日は強かったのかがわからない。
Numberを閉じた後も、何度となく一つの記事を思い出していた。落合監督は、ルールを研究し、飛ばないボールを導入したこと。現役時代も、野球規則、野球協約、アゴリーメントを隅々まで読み、何ができて何ができないかを把握していたこと。落合監督がしたことは、私の仕事だと、どういうことだろうかと考えた。
私は、ソファに座り、YouTubeで、落合監督が出演している動画を何本か観た。そうか。あの強さは練習にあったのか。プロの世界でもか。キャンプ初日に紅白戦をしたというのも、オフに練習をさせるためということを知り、今になって、本当のところが見えてきて面白い。もっと落合が欲しい。