どんまい

いろいろあるけれど、それでいい

いくら丼

 雲を眺めると秋を感じるというのに、北海道には珍しく残暑である。職場の元同僚が、デイキャンプをしたいと言うので、キャンプをすることになった。今年は、一度もキャンプをしていなかったこともあり、ちょうどキャンプをしたいと思っていたところだった。

 そう言えば、新型コロナウィルスが、私たちの職場を襲った時期に、ホテル暮らしをしながら職場に通っていたのだが、キャンプをするのが、経済的なのではないか、と頭を過ったことがあり、実際には実行にうつすことはしなかったのだが、キャンプ好きの職場の同僚にその話をすると、その同僚は、キャンプをしながら職場に通っていましたと涼しい顔で言った。

 午前9時に、元同僚が自宅に迎えに来て、私のキャンプ道具一式を車に積み込み、キャンプ場近くのショッピングセンターで、炭や薪、食材なんかを購入して、キャンプ場に到着した。もう秋だから、人も少ないのかと思ったけれど、まばらにキャンプをしている人たちがいた。私たちは、人気がない木陰のある場所に、車を止め、イスを出し、炭に火をつけ、焼き鳥を焼いた。

 昔から見る夢ってあります?と元同僚が私に訊いた。昔から見る夢なんて、あるの?と逆に質問し、説明をしてくれたのだが、夢ということもあり、現実離れしていて、理解に苦しんだ。私は、昔から見る夢はないけれど、子どもの頃、繰り返し見た夢というのはあるよ、と発熱した時にしか見ない夢の話だったり、空飛ぶ夢の話をした。

 元同僚は、夢の話を続けた。僕、仕事をやめる前に、よくドローンが落ちてくる夢を見たんですよ、と言った。夢占いで調べると、どうも、何かに追われているそうなんですよね、と言いながら、そう言えば、いくら丼の話ってしましたっけ?と言われ、タイトルが、いくら丼というのが、あまりにも突拍子もなく、話始める前から、おかしくて、笑いが止まらなくなり、涙を流しながら、ひーっ、ひーっ、と言って笑った。内容を聞いていないのにだ。キャンプ場で良かった。

 気づけばというか、時計も気にせず、思いつくままに話していた私たちが帰る頃には8時間が経過していた。8時間と言えば、職場の勤務時間である。