どんまい

いろいろあるけれど、それでいい

奇跡

 本を読みながら涙することは貴重で、涙した本は、わりとはっきり覚えている。漫画を読んで泣いたのは、メリー号との別れのシーン(ONE PIECE44巻)以来だなと、宇宙兄弟40巻を読みながら思った。

 物語の中心である兄弟それぞれの人柄と、兄弟関係、いや、両親、含めた家族関係が、この漫画の魅力の根幹だな、と40巻を読みながら、改めて感じた。小説についても同じことが言える。登場人物をいかに魅力的に書けるか。宇宙のことや奇跡のことについて考えると、不思議な感覚になる。今、こうして存在していること自体も奇跡で、人と人との出会いも奇跡と思わずにいられない。偶然なんだろうけど、必然とも思えるというか、運命というものがあるような気さえする。

 

「お前には羽がある。大きくはばたけ。わしらの羽はもう小さくしぼんでしもうた」渡辺拓也飯場へ』p130

 

 私は、シャワーを浴びながら、20代の頃を思い出していた。職場で、40代女性から聞いた言葉。あなたには、可能性がある。その可能性というのは、仕事を選べるという意味だろう。私は、その人が転職したいのかなと思った。当時の私は、可能性があると言っても、どう、その可能性を活かせば良いのだろうと思った。

 『飯場へ』の著者は、どんな職業を選択するのだろう、既に何かしらの職についているのだろうか。飯場での経験を活かす仕事は何か。勝手にそんなことを考えていたら、実践家であって欲しいな、と思った。