北の凡

いろいろあるけれど、それでいい

夜明け

 秋の匂いだ、そう感じたのは、昨日のこと。昨日のことだけど、書いておきたくて、ここに記す。昨日のことでもう一つ、書いておきたいことは、友人と電話をしたこと。東京から北海道に仕事で出張に来ていた友人。会える距離にいるのに会えない。会えないのなら、せめて電話で話を。お互い話したいことがあって、会話に繋がりが時々、失われる。友人が、最近、おすすめの漫画ある?と訊いてきたので、前にも言ったけど、ONE PIECEと応えたら、ONE PIECEだめだったと返してきたので、そんな悪い気持ちもせず、腕が伸びるのがダメだった?と私は返し、友人は笑った。腹が捩れるとはこのことで、涙を流しながら笑っていたら、発熱している気がして、ワクチンの副反応が出てきた気がするから切るわ、と呆気なく電話を切り、体温を測った。36.3度だった。症状が出る前に、解熱剤を飲んだせいなのか、副反応といえば、腕が痛いくらいで、いまのところ、何もない。といっても、いつ副反応の症状が出るかはわからないので、仕事は休み、ゆっくりとした休日を過ごしている。柿内正午『プルーストを読む生活』を読みながら、このブログを書いている。

 

 『発酵文化人類学』を読んだんだあ。数ページ読んで、合わないかもしれない、と閉じた本だった。柿内正午さんも、文体がだめかもしれないと思った経験をしていて、それでも読んでおもしろかったのなら、私も、そう思うかもしれないと思って、もう一度、『発酵文化人類学』を読んでみようかな、と思った。柿内正午さんは、どのような経緯で、発酵に興味を持ったのだろう?スペクテイター?私は、テレビで小倉ヒラクさんを見たのがきっかけ。シャドーピッチングのように柿内正午さんと会話を交わす。

 一言で言えばこうだ。生活の批評誌は、軽く前向きに肯定的に流し流されようとする生活を、もっと重く批判的に楽しむことを推奨する「ライフスタイルマガジン」である。ー生活の批評誌『no.2特集:つながりは、いま救われているのか?』p1

 批判的に楽しむ。マイナスとプラスの組み合わせが、かっこいいと思った。先日のONE PIECEコミック100巻アニメ1000話記念映像作品の『TWILIGHT』の歌詞にも、マイナスとプラスの組み合わせが使われていた。私も、マイナスとプラスの合わせ技を使いたいと思った。と思ったら、『プルーストを読む生活』にONE PIECEの話題が登場して、ONE PIECE読むんだあ。と、再び、シャドーピッチングのように柿内正午さんと会話を交わした。生活の批評誌を読みたくなって、携帯で調べてみた。オンラインショップは、どこも売り切れのようだった。ああ、読んでみたい。

 共感という同調圧力への生きづらさへの共感。それはわからないからこそある共感だ。共通点や既に知っている感情にわかる、わかる、「いいね!」のアイコンをクリックするような感覚ではなかった。柿内正午『プルーストを読む生活』p357

 正しいと信じていたものへ一石を投じられたようでハッとした。共感。ここ数年、職場で大切にしていたキーワード。わからないからこそある共感かあ。確かに、と思った。柿内正午『プルーストを読む生活』に紹介されていた柴崎友香の共感の話も良いし、森博嗣の理性の話も良かった。引用したいくらいだけど、長いのでやめる。

 そこから、職場の部下の顔が浮かび、正論をそのまま言われても、結局、響かなければ意味がなく、そこは、わかるまで待つという姿勢、敢えて言わないという選択も必要だということを改めて思う。思うというか、言い聞かせるというか。

 僕は、「抵抗なく書けるという範囲」がものすごく狭いな、この日記だって日記というにはほとんど身の回りのことを書けない、柿内正午『プルーストを読む生活』p366

 私も、阿久津隆『読書の日記』を読んでいたけれど、初めて読むように、引用された箇所を読んで、これが、二度読むことの醍醐味というか、いまだからこそ、響いた箇所なのだろうな、と思った。赤裸々に書くことが、人が読みたいものなのだろうか、私は、赤裸々には書けないな、人を傷つけてまで私には書けないと思っていたことがあったけど、確かに、抵抗なく書ける範囲の範囲が人によって違うだけのことなのかもしれない、とも思った。

 メルカリにあるかもしれない、と閃いて、携帯電話を手に取り、メルカリのアプリを開いて、生活の批評誌と検索すると、売っている人が一人だけいて、私は、電光石火の如く購入した。

 さいきん考えていることは、千葉雅也ではないけれど「つながりすぎてはいけない」ということで、「水」とうまく出会い交流するためにも、まずは健全に閉じる必要があるということだった。そのためにユリイカベケットや『文化人類学の思考法』や『情報環世界』が買われたのだと思うこと。接続過剰に陥ることなく、かといって過剰に孤立を指向するでもなく、自分と世界とのインターフェース=「泡」の輪郭=環世界をきちんと把握すること。柿内正午『プルーストを読む生活』p370

 つながりすぎてはいけない。私のアンテナにひっかかたキーワード。読書と仕事と生きることの境界線が曖昧になってきた最近の私の生活に幸せを感じる。山口周のツイッターで読んだ「頑張る人」はなぜ「夢中な人」に勝てないのか?つらつら考えるに、それは「累積思考量の圧倒的な違い」ということになると思います、を思い出した。

 柿内正午『プルーストを読む生活』が400頁を超えたところだ。体調は、発熱はしていないが、悪寒がする。ワクチンを打った右手で『プルーストを読む生活』を持つのが辛い。

 

プルーストを読む生活

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