どんまい

いろいろあるけれど、それでいい

田中俊之・山田ルイ53世『中年男ルネッサンス』イースト新書/何者かに”なれなかった”後の人生をどう生きるか?

出席できなかった会議の会議録を読みながら、反発的な気持ちになった。

 

発言者は、そんなつもりでは言ってはいないし、どういう意味?と関係性が築けていれば、聞いているだろう。今、私の目の前にその発言者はいないし、冷静になる時間があるから、じゃあどうしたら良い?と心の中で、その発言者に問いかけるが、その会議に出席していたら、反射的に、反発している可能性がある。

 

田中俊之・山田ルイ53世『中年男ルネッサンス』の言葉を思い出した。

 

論破に代表されるように、”言葉でいかにねじ伏せるか”に魅力を感じる男性って多いんです。でも、論破は一方通行だからコミュニケーションすらありませんし、相手のことを考えないでいいから簡単なんです。それより、いかに波風立てずにおもしろさを加えるか、相手を不快にさせないか、といったことの方が難しいですよね。普通の人にとっては、むしろそっちのスキルのほうが役に立つし、みんな苦労しているところだと思いますよ。田中俊之・山田ルイ53世『中年男ルネッサンス』p157

 

この言葉20代で読みたかったなあ。20代なんて、いかに論破するか、そのために、知識をつけようとしか考えていなかったもんなあ。

 

そんなことを考えていたら、自宅のアパートの駐車場に着き、ただいま、とアパートのドアを開けた。

 

猫の鳴き声は聞こえない。電気をつけた視線の先、テレビ台の隣の爪とぎの上に猫は座っていて、目があった瞬間に、お尻を上げ、おそいよ〜、と鳴いた。目が少しだけうるうるしているように見えて、猫のところにしゃがんで、頭を撫でた。

 

すでに22時近くになっていて、焼きそば弁当で夕飯を済まし、シャワーを浴びて、布団の上で、田中俊之・山田ルイ53世『中年男ルネッサンス』の続きを読んだ。

 

田中俊之・山田ルイ53世『中年男ルネッサンス』は、伊野尾書店の一万円選書で選んでいただいた1冊で、昨日、宮本輝錦繍』を読み終わって、今度は、さくさくっと、軽く読めるのが良いな、と商品に同封されていたコメントペーパーを再度、読み、”おそらく、アフロ田中が40歳になったらこの本を読んでいるのではないかと思います”というコメントが書かれていて、なぜ、アフロ田中なのかというと、私が、アンケートにアフロ田中が好きだと書いたからなんだけど、兎に角、アフロ田中の名前に惹かれて、『中年男ルネッサンス』を開いた次第。

 

確実に、一万円選書で選んでいただかなければ読んでいない本。お手本となるビジネスマンが書く本は、たくさん本屋に並んでいるけど、『中年男ルネッサンス』のような、等身大の40歳が書かれている本が、時には、必要な時もあるし、そっと寄り添って、いろいろあるけれど、俺もとにかく生きようと、思えることもあるのではないか。

 

いい意味でも悪い意味でも、いろんな可能性を潰しきって、すでに決着がついてしまっている年齢というか。田中俊之・山田ルイ53世『中年男ルネッサンス』p45-46

 

20代前半の時に、40代の女性職員に、可能性がいっぱいあって良いね、と言われて、そんなものなのか、と思ったけれど、どうなんだろう?就職してしまったら、そんなにたくさんの可能性があったのだろうかと思ってしまう。転職できる可能性はあって、転職したけど。新卒の頃は、まずは3年だな、と思っていたけど、あっという間に、7年くらいが経って、30歳になり、20代より、30代はあっという間で、気づけば40代。気持ちは、まだまだ30代前半。そんな感じ。可能性を潰しきったもなにも、潰した感じすらしない。

 

そもそも、「そんなに好きなことをやらなきゃだめなの?」という気持ちが僕にはあります。よく言うお決まりの話で、僕ではもはや漫談化しているのですが、「そんなにイキイキしていなきゃあかんかね?」っていう。「好きなことを仕事にする」というのは最近の流行りでもありますね。田中俊之・山田ルイ53世『中年男ルネッサンス』p170-171

 

最近、こんな感じの言葉が胸を打つ。私もずっと好きなことを仕事にしようと思ってきたけど、そもそもこの好きなことを仕事にしようというこの気持ちは誰からの受け売りなのだろうか、と考えてしまった。

 

時には現実から目を逸らしてもよい。加齢による抗うのが難しければ、あまり深刻に受け止めないようにする。人生の意味や価値については、一旦、脇に置いておく。絶望こそ笑い飛ばす。田中俊之・山田ルイ53世『中年男ルネッサンス』p187