伊野尾書店から届いた小包を丁寧にカッターで開けた。一冊、一冊に、ブックカバーがかかっていて、心のこもっている仕事だなあ、こういうちょっとしたことが、人の心に響くんだよなあ、と思った。
同封されていたプリントを読んだ。なぜ、その本を選んだかが書かれていて、長い手紙を読んでいるようで、読む楽しみがさらに増した。また、一冊読むたびに読み返そう。
いわた書店の一万円選書をお願いした時も思ったけど、一万円分の本を、一人ひとりに合わせて選ぶのは、相当、難しい。私ならできない。私のおすすめする本を一万円分送ることはできるけど。
そんなことを考えていたら、毎年、本をプレゼントしている友達に送る本が、手元に置いたままになっていたことに気づいた。10月1日から、値上がりするから、今月中に送らないと。引っ越ししたことも伝えていないし。
そんなわけで、伊野尾書店から届いた一万円選書。まず、最初に手に取った本は、迷わず宮本輝『錦繍』。
秋になると読みたくなる本、というのがあります。 「錦繍」という言葉の本来の意味、なぜその言葉がタイトルになっているのか、そしてなぜ私が秋の季節にこの本を勧めるのか。 読んでもらえればすべて一本の線で通じると思います。 本当に名作です。 pic.twitter.com/LuveRNCbAz
— 伊野尾宏之 (@inooshoten) September 16, 2019
ツイッターで『錦繍』を勧めているのを読んで、読むなら、秋だな、と思ったから。まさしく今。
以前に読んだことがあるような気がする本で、読みながら、ああ、読んだことあると、思い出すのだろうか。
『錦繍』を数ページ読んで、職場の飲み会の時間になった。玄関を開けると、激しい雨が降っていた。
9月の頭に、以前、一緒に働いていた仲間が、心に棘が刺さっていたり、元気がない者もいて、どうでも良いような話をして終わる飲み会が必要ではないかと思って、今日、開催した。
職場の飲み会といえば、めんどくさいけれど、この飲み会は、伝統的にというか、いつも、楽しくできている。
帰り際に、参加した一人から、楽しかったと、誰に言うでもなく呟いた言葉を聞いて、やって良かったと思った。
また、明日から、仕事だ。