どんまい

いろいろあるけれど、それでいい

高校時代の2つ上の先輩と接する時は、今でいうところの会社の代表と同じくらい、いやそれ以上に緊張感を持って接しているかもしれない。

仕事を終え、自宅に帰ってきて、居間に入る曇りガラスを開けると、猫がストーブの前に、座っている。私は、猫に向かって、「ただいま」と声をかけると、高い声で、「にゃあ」と鳴き、カーペットの上に、ごろんと撫でられるのを待つ。次に、私の仰向けになった体の上に乗り、さらに撫でられる。私は撫でながら、どうして、こうも撫でられるのが好きなのだろうか、と考える。が、わかるわけがない。北海道は、ここのところ、いつ雪が降ってもおかしくない寒さで、ただ、寒いけど、例年になく、初雪は遅れているらしい。今日、テレビで十勝に初雪が降ったと言っていた。ストーブがつくと、猫は、定位置のストーブの前のクッションの上に、再び、座る。

 

私は、食事をした後、枕と毛布を持ってきて、猫と同じくストーブの前に寝そべりながら、保坂和志の『試行錯誤に漂う』を読んでいる。3日間続けて読んでいる。3日前も読んでいた。3日前なのに、記憶が曖昧だけど、3日前は、羽生結弦のフリーの演技を見ようと思いながら、気づいたら寝ていて、0時近くに起きると、LINEにメッセージが入っていて、そのメッセージは、高校の野球部時代の1つ上の先輩と2つ上の先輩の写真がまず送られてきていて、「おいで」とメッセージが届いていたのが21:31。次のメッセージは、「未読スルーして」「それでいいの」と続く。私は、0:01に、「羽生結弦のスケートを見ながら居間で寝ていました」「厳密に言うと、登場する前で、寝ていました」と返した。「だから?」と先輩から返ってきて、ちょっと寝ぼけた頭で愉快になってきて、「今、ネットで結果見たら、優勝していました」とちんぷんかんぷんな返答を返し、ひとりでくっくっく、と声は出ていないが、愉快だった。「お前来るの?」と先輩から返事が来て、どこで飲んでいるんだろう?まあ、どこで飲んでいようが、もう0時過ぎてるし、明日も仕事だし、と思って、「無理です」と返したら、「もう一回?」と返ってきて、なんか、温度差を感じ、姿勢を正し、「明日も仕事です」と返すと、「無理って、どこで習った?」と返ってきて、酔っ払っているのか、めんどくさい展開になってきたな、とぺこりとキン肉マンが頭を下げているスタンプを返した。「お前スタンプで返すの?」とさらにめんどくさい展開になり、「申し訳ございません」と返したところで、先ほどの愉快な気持ちは、とうに消え、もうめんどくさいな、と携帯電話を閉じた。閉じた携帯電話からは、何回かLINEのメッセージが届いた音がしたけれど、寝た。読んでいる人に、誤解がないようにいうと、私は、この2人が好きだ。好きだけど、この時は、めんどくさくなって、そのままにした。なんのフォローにもなっていないか。これが3日前。

 

そして、昨日も、ストーブの前、猫の隣で、保坂和志の『試行錯誤に漂う』を読み、気づいたら寝ていて、今日。まるで、同じように、ストーブの前、猫の隣で、保坂和志の『試行錯誤に漂う』を読んでいる。

 

私には少し難しく、意味がところどころわからないんだけど、おもしろい。そんな感覚になったのは、保坂和志の本が初めてで、保坂和志の影響を受けて、最近のこのブログの書き方も少し変わってきた。保坂和志と、先日、読んでいた阿久津隆の『読書の日記』の影響でもある。保坂和志は、どの本だったか、書くことによって考えるというようなことを言っていて、今の私も、こうして書きながら、考え、頭に浮んだことをそのまま猛烈な勢いでキーボードを打っている。だから、ここまで、結構な文字数なんだけど、時間にしては数分。厳密にはかっていないけど、数分。 

 

試行錯誤に漂う

試行錯誤に漂う

 

 

まもなく読み終わる。煙草を吸いに外に出ると、前回の『砂漠』にメッセージを返してくれた後輩を思い出した。その後輩も、今、通勤途中で、『砂漠』を読んでいるって言っていた。何か、これも何かの縁なのか、私は、読みたい本が他にもあるから、『砂漠』の再読はないだろうと思っていたけど、『試行錯誤に漂う』を読んだあとは、『砂漠』を開こうかと思っている。それにしても、後輩が、このブログを読んでいてくれるなんて嬉しいな、と思った。もうかれこれ10年くらいは読んでくれているのではないだろうか。最近のブログの書き方が変わったのは気づいただろうか。