まもなく高校生活が終わろうとしていた高校3年の2月。
僕はかわぐちくんと二人で家に帰るところだった。
僕は、何となく、頭に浮かんだ言葉をかわぐちくんに言った。
「かわぐちくんって、自分のやりたいって思ったことをあきらめないよね。今まで出逢った人の中で一番だわ」
かわぐちくんは、少し、何かを考えているようだった。
そして、「こんな話、誰も信じてくれないと思ったから、今まで、話したことがなかったけど、坂本なら、信じてくれそうだから話すわ。あきらめが悪くなったきっかけ」と言った。
きっかけなんてあったんだと思いながら僕はかわぐちくんの顔を見た。
小学生の頃の話なんだけどな。
当時、俺、水泳が苦手でさ。
まったく泳げなかったんだわ。
泳いでいる格好も無様だったらしく、
クラスのみんなは、俺の泳ぐ姿を見て、
「溺れるぅ」って腹を抱えて笑いやがった。
ついたあだ名が『ハンマーブロス』。
スーパーマリオに出てくるだろ?ハンマーブロス。
クッパのちっちゃいやつな。
泳げない人のことを金槌って言うのを知っていた奴がいたんだな。
それから俺は、水泳とともにスーパーマリオが嫌いになった。
俺、クリアしてないからね。スーパーマリオ。
その年の夏休み。
俺は泳げるようになりたくて練習しようと思ったわけよ。
夏休みあけの水泳授業で、また馬鹿にされるのも嫌だろ?
だけど、プールにいくと誰かかれかに会うし、
プールは避けて、川で練習をしようと思ったわけ。
プールより川の方がおもしろそうだし、
川なら、水泳帽も被らなくて良いし。
何せ、馬鹿にされることもないし。
ズボンははかないで、海パンのまま自転車にまたがって川を目指した。
いなかった?
水泳授業があるからって、海パンを履いて学校に来たはいいけれど、
水泳授業が終わって、パンツを持ってくるのを忘れて、帰るまでノーパンだった奴。
まあ、そんなわけで、
川に入って、泳いで、
疲れたら小さい魚を探して、
一人で遊ぶっていうのを何日間か続けた。
ある日、
足が川の底につくっていうのを確認しながら泳いでいたんだけど、
知らず、知らずのうちに、深くまでいっていたんだな。
泳いで、足をつこうと思ったら、川の底に足がつかないわけよ。
もう、その時点でパニック。
やばい、やばいと思いながら、足をバタバタさせるだけでさ。
水は飲んじゃうしでね。
もう死ぬかもしれないと思った、その時、
俺の体が水面から出たのよ。
助かったあって、ふと我に返ったら、誰かが肩車してくれていることに気づいた。
ゆっくり、ゆっくり、川の外に移動しているのがわかった。
川から出てびっくり。
肩車をしている人を見たら、
人じゃなくて河童。
緑色の河童だったわけよ。
またパニックな。
※この物語はフィクションです。
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