どんまい

いろいろあるけれど、それでいい

狸小路7丁目


北海道の中心都市、”札幌”。

まもなく雪が降るし、ここらへんで”札幌攻め”をしておこうかと、
ポストカードが入った鞄を持って、てくてく札幌の街を歩く。

あらかじめ、調べた店の住所に辿り着くが、
どこにあるか、わからず、
はたまた、もうなくなったのか、
見つけることすらできなかった。

狸小路”にでも行くか。
俺は、大通り公園付近から狸小路に向かって歩いた。

今年の夏、札幌に住む、同い年のいとこに、
楽雲庵塾の話、ポストカードの話をした。
その時、「狸小路には、結構、おもしろい店があるから、置いてくれるところがあるかもしれないよ」と教えてくれた。

狸小路は、大通り公園とススキノの間にある、アーケード街。
イメージでは、廃れた感じがするアーケード街だったが、
いとこの話を聞くと、夜には、ストリートミュージシャンもいて、
個性的で、おもしろい店も結構あるって聞いた。

札幌は、1年住んでいたし、その後も、何度となく訪れた街。
ただ、狸小路は、そのイメージから、全然、足を踏み入れていなかった。
いとこの話を聞いた後、
もしかしたら、俺のイメージは間違っていたかも知れない。
行って、確かめてみようって、狸小路5丁目あたりに辿り着いた。

4丁目の方向に向かうか、6丁目の方向に向かうか、しばし考える。
新潟のアーケードも、端に行く方が、おもろい店があったから、
端の方に行きたいな、たぶん、6丁目の方が端だなって、
半ば、勘で、狸小路5丁目から、狸小路6丁目、
そして、狸小路の終わりのような雰囲気が漂う7丁目まで歩いた。

狸小路7丁目は、それまでの5丁目、6丁目とは、
明らかに雰囲気が違っていた。

5丁目、6丁目は、綺麗な感じなんだけど、
7丁目は、狸小路ができた頃のまま残っている、
そんな感じがした。

一目見て、俺の好きそうな店がある気がした。
わくわくしながら、俺は歩いた。

いつからあるんだ?という食堂があり、
狭い屋台のような飲み屋があり、
古い八百屋がある。

道外の友達が来たら連れてこようって考えながら、
7丁目を一通り歩いた。

その中でも、気になる店があった。

そこは、飲み屋やBARが何軒か入っている古い建物で、
外から見た感じでも、独特の空気を放ち、
お香の匂いが、外まで、漂っていた。

俺は、その一軒に入り、カウンターに座った。

カウンターには、先客の中年のおじさんが、
カウンターの中にいる女性の店員、二人と話しをしていた。

俺の母親よりも、すこし若い女性と、
20代と思われる女性。

奥には、3つか4つ、テーブルがあり、
その一つには、女性客がいた。

メニューを見て、ここは飲み屋だったのかと気づく。
飲み屋のカウンターに一人、酒を注文しないのもなぁと考えながら、

「すみません、コーラを一つ」と注文をする。

コーラなのに、お通しが出てきたのには、
少し、申し訳ない気持ちにはなったが、
何せ、酒が飲めない。

そんなことを考えながら、店内を眺めた。
外から見た感じの通り、その店は、雰囲気が良い。

まばらに白で塗られたコンクリート
歴史を感じる、古い木の柱、
壁には、アート関係の雑誌、
その隣には、名刺やらイベントの告知のポスターが詰まっている透明なビニールの入れ物、
奥のテーブルの白い壁には、いくつもの絵が飾られていた。

「すみません、コーラをください」

酒のつまみにコーラ。
俺を見た店長の女性は、「コーラは甘いでしょ」と、
酒を注文しないのが不思議だったのか、声をかけてきた。
「すみません、俺、酒、飲めないんですよ」と返した。

店長の女性は、忙しそうに、料理を作りながら、
もう一人、カウンターにいた中年の男性と映画の話をしていた。

俺は、透明なビニールの入れ物に入ってる名刺やらイベントの告知を、
持ってきて眺めながら、やっぱり、こういう店には、
他のおもしろい店の情報が手に入るなぁって思いながら、
二杯目のコーラを飲んだ。

ここの店に、ポストカードを置いてもらえないかなぁ。
ちょっと話してみよっかな。

「すみません、コーラをもう一杯ください」

3杯目のコーラを飲んでいる時、
店長の女性が、再び、俺に話しかけてきた。

「旅をされているんですか?」

「ちょっと、ここら辺をぶらぶら歩いていたら、なんか、良い雰囲気だなぁって入りました」

「ありがとうございます。それにしても、コーラばかり、よく飲みますね。歯、溶けますよ」

「よく、言いますよね。いつも、こうです」

店長の学生の頃の友達が、コーラばかりを飲んでいて、
本当に、溶けたって話を聞いて、俺は、少しびびって聞いた。

「あっちにある絵を見せてもらっていいですか?」

「どうぞ」

奥にいたお客さんの邪魔にならないよう、
絵を観て、トイレに行き、再び、カウンターに座った。

「絵を描いていらっしゃるんですか?」

「写真のポストカードを作っています。今日も、置いてくれる店を探して歩いていました」

「良かったら、見せてもらえませんか?」

俺は、心の中で、良しと呟きながら、
ポストカードとプロフィールを店長に渡した。

「自己主張が強いなぁ、せっかく良い写真なのに・・・。言葉がないとダメなんですか?」

あちゃあと思いながらも、「はい、言葉が入って初めて俺の作品なんですよ」と答えた。

アドバイスを聞き、
ちょっと変えようかなぁって、
時には、試す時はある。

ただ、自分で変えようかなと思わなければ、
当然、変えない。

もっと、かっこいいものを、
もっと、多くの人に届くものを、
作りたいとは思うけれど、
自分が納得したものじなきゃ、
自分の作りたいものじゃなきゃ、
作る意味がない。

以前、数店舗の支店を持つ雑貨屋さんへ営業に行った時も、
置いてくれそうだったけれど、
「字を入れないのは作ってもらえますか?」と言われ、
「いや、それは自分の作りたいものと違うからできません」と断った。


結局、なかなか、良い流れで、ここまで話が進んだと思ったけれど、
店に置いてもらうまでには至らなかった。
ただ、おもしろそうな店を教えてもらった。


帰り道、たぶん、札幌には、俺の好きな店があるだろうなぁって思いながら、
出逢いたいなぁって、てくてく歩いた。





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