どんまい

いろいろあるけれど、それでいい

炭鉱の町2


母が台所で、ご飯を作っている音を聞きながら目を覚ました。
布団から手をのばし、携帯電話を見ると6時ちょっとすぎ。

前日の夜、写真を撮りに行くのを聞いた母が、
「弁当、持って行くかい?」と俺に聞いた。

ふと目に止まった、パンを見て、「パンで良いや」と答えた俺に、
「弁当を持って行きなさい」と言っていたんだっけ。
寝ぼけながら思い出した。

一緒に行きたいけど、妹が、帰ってくるから行けないと母は言っていた。
二人ででかけるのも恥ずかしいだろって、心の中で呟いて、俺は気のない返事をした。


ひさしぶりに母が作った弁当と、昨日、父に借りたカメラを持って、早朝の町に出た。
晴れのち、パラパラと雨。

前日できた水溜まりに朝日があたって、道路はキラキラと光り、
ひんやりしている気温と相まって、世界の始まりみたいだなと、一人、心の中で、呟いた。
清々しい。
早朝に写真を撮りに出かけるのも気持ちが良い。
初めて知った。

山は、赤、黄色、黄緑、茶色と紅葉真っ盛り。
山を眺めながら、山を抜け、途中で、母が作った弁当の半分を食べ、
車を走らせ、赤平の町にさしかかる。

炭鉱があった場所を目指していた筈なのに、
街並みは、古い建物が残っていて、
その中には、建物が朽ち果て、自然に飲み込まれていく姿もあって、
炭鉱以外にも、いつからあるのかわからないくらい古い建物に惹かれていった。
車を止めては、夢中でシャッターを押した。


北海道赤平市
この赤平には「住友赤平炭鉱立坑櫓(すみともあかびらたんこうたてこうやぐら)」というのが現存する。
(※上の写真)
元々、俺は、ここを目指していた。

見た瞬間、すげぇと心の中で声をあげ、
ふと、この建物を見て、こんなに興奮する人っているのかなと、
己を顧みるが、いや、いるなと思うに至った。

鎖には、立入禁止と札が下がっていた。

建物には、住友赤平立坑の赤い文字。
当時、夜には、この文字が光っていたらしい。




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