北の凡

いろいろあるけれど、それでいい

トラブル

猫の髭が私の頬にあたって、目が覚めた。私の顔のところに猫がいて、布団を少しだけあげると、布団の中に入ってきて猫が胸の上に乗ってきた。

 

朝9時。今日は、親戚一同と会う日で、3時間かけて、祖母の家がある十勝に向かうのだが、めんどくさいな、と少しだけ思った。ただ、行かなければ、行かないで、夜に罪悪感に苛まれることも容易に想像できたので、出かける準備をした。

 

猫は、私が出かけるのがわかったのか、膝の上に乗ってきた。そうこうしていると、9時半になっていて、到着予定時刻は、12時半だったので、妹にご飯とっておいてと連絡した。

 

アパートから一番近いコンビニで、携帯電話をいじりながら、車に乗り込もうとしたら、運転席に人が乗っていて、うわあ、という声と同時に、すみません、と咄嗟に謝っていた。

 

運転席の男性は、怒りとも驚きともとれる表情で私を見た。私が停めていた車の隣の車のドアをあけたみたいだった。もちろん、こんなことは初めてのことだ。

 

車内では、箱根駅伝を流した。日本三大駅伝の全日本駅伝では東海大が優勝し、出雲駅伝國學院が優勝していて、何となく、青山学院大学を応援していた。ラジオをつけた時には、3区を走っていて、東京国際大のY.ヴィンセントがトップになった。

 

祖母の家に着いた頃には、5区で、トップは青山学院大学だった。祖母の家には親戚一同が集まっており、ただ、祖母は施設にいたので、昼食を食べたあとは、親戚の何人かと祖母に会いに行った。

 

祖母は私たちの前で民謡を歌って笑った。祖母が民謡好きだということは前から知っていたけど、祖母の歌声を聴いたのは初めてだった。

 

祖母の部屋を出ると、ホールでは、入居者の方々が書き初めをしていて墨の匂いがした。

 

車椅子に乗った女性が、名前くらいしか書くことなくてね、と私に向かって言うので、半紙を見ると、大きく「イク子」と書いてあった。半紙の左側に名前を書くものだが、その方は、半紙の真ん中に名前を書いていた。イク子さんとおっしゃるのですね、と私は言った。

 

3時間かけて親戚一同に会い、3時間祖母宅に滞在し、昔、通っていた整体に向かった。かれこれ1年ぶりになるらしい。ここ以上に私に合う整体をこれまで出会ったことがない。何度か整体を受けに十勝まで行こうと思ったくらいだ。

 

整体を受け終わったのが17時、ブックオフに寄って帰路に着く頃には18時、自宅の到着予定時刻が21時。

 

と思ったら、高速道路上で、ガソリンがなくなり、オレンジ色の灯りが点った。

 

SAで2000円分でも入れれば大丈夫だろうと、由仁SAに寄ったら、1月2日だからなのか、営業時間を終えていたのか、閉まっていた。

 

兎に角、高速道路を降りないと、片側交互通行の道東道で車が停まってしまっては迷惑をかけると、追分ICで降りた。

 

携帯電話で最寄りのガソリンスタンドを探すと、22km先で、以前、ガソリンがないことを知らせるオレンジ色の灯りが点ってから30kmは走るということを誰からか聞いたことを思い出して、22km先だと、たぶん、ギリギリだな、と思って、自宅のアパートとは逆の18km先にあるガソリンスタンドに向かうことにした。

 

途中、山の中を走りながら、ここで停まったらJAFに連絡するの伝えづらいな、とか考えて、極力、ガソリンをつかわないように、暖房も切り、音楽も止めた。

 

あと○kmと祈るような気持ちで運転し、何とか事なきを得て、自宅のアパートに着いたのは22時になっていた。