朝。自宅のアパートから外に出ると、雪が溶けていて、溶けているといっても、ところどころに雪は残っているのだが、アスファルトが出ていた。
大学時代。私は仏教系の大学に在学していた。仏教系といっても、仏教を習う授業を受けたことはなく、というか、こう書いていると、禅のこころという授業があったのを思い出したのだが、どんな内容だったかは、全く覚えていない。
坐禅をする授業が禅のこころという授業だったのだろうか。学食とか人混みが苦手で、坐禅をする場所は、静かだったので、この場所、落ち着くなあと思っていた印象は残っている。
そんなことを思い出しながら、スペクテイター『禅』の特集号の続きを読んだ。
禅に影響を受けた小説家の紹介があって、そこで紹介されているいくつかの本が自宅の本棚にあった。
J・D・サリンジャー『ナイン・ストリーズ』、ジャック・ケルアック『オン・ザ・ロード』。ジャック・ケルアック『ザ・ダルマ・バムズ』は本棚にないから、今度、どこかで出会ったら買おうと思った。
スペクテイター を読んでいると、どこからともなく、廃品回収車が「のちほどお伺いしますので、玄関に出しておいてください」と言っているのが聞こえた。
自宅に置いてあるダンボールを紐でしばり、玄関先に出した。
3つばかり、ダンボールを残し、そのダンボールを書斎に持って行って、書斎の掃除をした。
書斎の掃除をしていると、居間から、猫が、にゃあご、にゃあご、と悲痛とも言える鳴き声で鳴いた。
さっきまで、ソファで眠っていたのに。私がいない時は、こうして、鳴いているのかと思うと、切なくなって、掃除をする手を止め、居間に行き、猫を撫でた。
猫は一瞬だけ膝の上に乗り、ストーブの前に移動した。そして、寝た。
場所を共有していれば、それだけで満足。
同感だ。