どんまい

いろいろあるけれど、それでいい

猫を大学病院に連れていった。

朝6時すぎに猫が、ご飯をちょうだいと鳴いた。ただ、今日は、大学病院に受診に行く日であり、朝食は絶食と言われていたので、ご飯をあげることができない。猫は、そんなことはわからないので、何で、今日は、ご飯をくれないの?と不思議な顔をしていた。ご飯をあげたくなったけど、私も我慢した。

 

診察開始である9時に合わせて、自宅を出て、大学病院の駐車場についた。いつも通っている動物病院の検査では疾患名を確定することが難しいということで、大学病院での診察を希望した。疾患名を確定してから、どのような治療があるかを知り、選択しようと思った。ただ、大学病院での診察日になると、怖くなった。いつも通っている動物病院で腫瘍の可能性もある、と言われていたから。

 

受付を済ませ、10番の診察室に呼ばれると、研修医だという20代前半の女性が、今日の説明をした。学生から聞き取りをさせていただいてよろしいでしょうか、と研修医が言った。男子学生の1人が近くにきて、猫の最近の様子について質問をした。壁側には、他に5人ほどの学生が立っていた。質問を全て答え終え、研修医が、それでは、2時間から3時間お時間をいただきますと言い、猫を診察に置いて、診察室を出た。病院の出入り口付近に、飼い主の膝に乗った黒い犬が座っていて、愛嬌があってかわいいなと、犬と飼い主に微笑んだ。帰ってきて、ネットで調べると、パグという種類の犬だった。

 

猫は、何がなんだかわからないだろう。知らない場所に連れてこられて、知らない人に囲まれて、押さえつけられて、嫌だろうな、不安だろうな、と私も胸を締め付けられる思いをしながら、私はどうすることもできず、一旦、病院を後にした。

 

近くの喫茶店に行って、コーヒーを飲みながら本を読み、昼には、大学構内のレストランで、全く、接点がない分野の学生たちに囲まれて、多くの外国人に囲まれて、とんこつラーメンと牛トロ丼を食べて、再度、大学病院の駐車場に着いた。まもなく、電話が鳴って、病院の待合室の椅子に座った。

 

テレビでは、ワイドショーが流れ、安倍改造内閣について放送されていた。小泉進次郎環境大臣に任命された。

 

名前が呼ばれた診察室12番で、ドアを開けると、30代前半の男性が低姿勢で挨拶をした。本日の担当医だった。キャリーケースに入っている猫を見ると、疲れているというか、悲しい目をしていた。

 

担当医は、診察結果の数値と、画像、ホワイトボードに、今回の症状を書きながら説明していった。腫瘍だと思っていたのが、腫瘍ではなく、結石があるということだった。

 

結石があるから病気には病気だけど、腫瘍という最悪の結果ではなかったから、良かった、良かった、と何度なく、つぶやいて帰ってきた。