北の凡

いろいろあるけれど、それでいい

昭和から営んでいるケーキ屋で手土産を買い、大正生まれの祖母に会ったあとは、明治に創業した温泉に浸かる。

祖母への手土産を買うためにケーキ屋に寄った。

 

そのケーキ屋は、初めて行くケーキ屋で、祖母の特別養護老人ホームから数十分のところにあるケーキ屋だった。

 

日曜日だからなのか、そもそも閉店しているからなのか、周りの店は、どこも、シャッターが閉まっていて、幸運にもケーキ屋は開いていた。

 

60代にほど近い夫婦で切り盛りしているような店で、跡取りがいなく、私たちの世代で、この店も終わりにしようという雰囲気の店で、カウンターには、家族で沖縄旅行に行った時に買って来たものなのか、シーサーの置物が置かれていた。

 

厨房というのか、ケーキを作っている場所には、旦那さんが、難しい顔をして、何かを見つめていた。

 

そんな手土産を持参し、祖母に会いに行ったのは、かれこれ、半年近くぶりだった。

 

食事をみんなでとる食堂といえば良いのか、広間で、私は、ソファに座り、車椅子に乗っている祖母と近況を話しをした。

 

祖母は、何度となく、同じ話を繰り返した。

 

このあとは、実家に寄るのか、というもので、私が、今回は、ばあちゃんに会ったら、そのまま帰ると言うと、親は待っているんだと言っていた。何回繰り返しただろう。10回ほど繰り返しただろうか。

 

帰りの車の中で、私に実家に顔を出せというのは、つまり、祖母も自分の子供たちと会うのを楽しみにしているということなのだろうな、と思った。

 

祖母と会った帰りは、日帰り温泉にでも入ろうと思って、携帯電話で探した。

 

できれば、秘境と呼ばれるような、寂びれた感じの温泉が良いな、と思って、たどり着いた温泉は、創業が明治で、まさしく、このような場所を探してたというような外観だった。

 

客はほとんどいなかった。

 

このような入浴施設にはありがちなのに、私は、シャンプーも、ボディーソープも持参していなくて、辛うじて、備え付けられていた固形石鹸で、体を洗い、湯船に浸かった。

 

私以外に、もう1人、別の湯船に浸かっていて、私は、もう一つの湯船に浸かりながら、シャワー横に書かれている文字を読んだ。

 

浴室内禁煙。

 

当たり前のことだけど、明治から令和までの営業してきた歴史の中で、煙草を吸いながら、こうして湯船に浸かっていたものがいたのだろう。

 

そういえば、私がよく行く、体育館では、バスケットボールのゴール横に、ダンク禁止と書いてあって、そうそうダンクできるやつなんて、いるのかよ、といつも気になっている。