文喫で、ガラスケースに入った4冊のうちの1冊が目に止まった。
ドリアン助川といえば、『あん』という小説が、すごい良くて、ドリアン助川が書く、東日本大震災関連の本を読んでみたくて、買ってきた1冊。
震災の翌年である2012年、放射線量計を携え、松尾芭蕉の奥の細道を自転車で旅をした記録。2012年といえば、ちょうど、私は宮城県と福島県の県境の小さな町に住んでいた。
そんなことを思いながら読み進めていると、ふと、なぜ東日本大震災関連の本が気になるのだろう、と頭の中に浮かんできた。
自宅の本棚には、東日本大震災関連の本が何冊かある。
何か、強い意思があってのことではない。3月になると、私の好きな本屋さんのいくつかが、東日本大震災関連の本を薦めているのが、読みたいと気持ちを駆り立てる。
東日本大震災をきっかけに、原発が必要かどうかを真剣に考えるようになった。だから、読むのかもしれない。
もう、セシウムだのなんだの気にしてないという声もよく聞きます。これはあくまでも私の印象ですが、原発災害については、『風評被害』とやらを恐れて人が口を噤んでいるうちに、自分たちのなかでもその災害自体が風化してしまっている、という気がします。ドリアン助川『線量計と奥の細道』p326