北の凡

いろいろあるけれど、それでいい

身動きが取れなくなった

北日本で暴風雪に警戒」

 

知っていたけれど、予想以上だった。私の住む町は、ホワイトアウトと言って、風が断続的に吹き、積もっていた雪が舞い、舞うというか乱舞し、視界がゼロになる。白の世界。昼間でもライトをつけないとならない。

 

仕事中に、そのホワイトアウトを避けて、車を走らせていた。いや、走らせていたつもりだった。私が走っていた道、いつも通っている道で、両側が畑という道だった。途中、ホワイトアウトが私の車を襲い、どこが道路なのかわからない状態となった。ゆっくりと、道を確認するように走っていたが、車が前に進まなくなり、車を降りて、吹き溜まりに突っ込んでいることに気づいた。片側が、畑に落ちているのかもわからなかった。車を前進しても吹き溜まりで進めず、バックしてもタイヤがスリップして動くことができない。

 

トランクに入れていたスリップしたタイヤの下に入れて脱出する道具を使い、バックするが脱出できない。トランクに誰かが片付け忘れていた泥がついた軍手を履き、スコップがなくて、スノーブラシで、非効率に雪をかき分ける。レレレのおじさんのように。何をしても動かない。ライトもハザードもつけているが、車に追突されないかと心配になる。会社の者を呼ぶか、JAFを呼ぶか、と頭を過ぎる。ただ、現在地を知らせる目印もない。

 

ステップワゴンだっただろうか、白のワンボックスが横に止まり、窓を開けた。私と同じ年代の女性が、「大丈夫ですか?引っ張る道具ありますか?」と訊いた。トランクを開けると、女性は、「それです」と言う。どこかに電話をし、「私の車だと、引っ張れないかもしれないので、今、車屋さんを呼びました」と言った。

 

マフラーが雪に埋まっていないかを確認し、車の中で暖を取る。車が追突しませんように、と願う。車屋さんを呼んでくれたという女性も路駐しハザードをつける。早く、この道を抜けたいだろうに、申し訳ない気持ちになる。

 

何分待っただろうか。雪の中からシルバーのBMWが現れた。インターネットで検索すると、SUVというタイプの車らしい。どうも、その車屋さんと車屋さんを呼んでくれた女性は、友達という感じで、女性は、何度も、「ありがとね」と言っていた。「じゃあニュートラルにしてください」と言われ、吹き溜まりから難なく脱出できた。私は、「お金はいくらでしょうか」と訊いた。いらない、と言う。腰を45度折り、一礼。女性のところに走り、再び45度に腰を降り、「ありがとうございました」と礼を言う。

 

私のズボンに纏わりついた雪は、水分となり、ズボン全体を濡らし、パンツも濡らした。パンツが濡れたのは、いつ以来だろうか。

 

車屋さんが、どこの車屋さんかはわかるので、年が明けたら、再度、菓子折りを持って、お礼をしにいこうと思っている。もちろん、女性の分も。